ロングッドの東方の海底に位置する特殊な王国。支配者はラナリューンである。基本的には彼女と、彼女を崇める海の生物のみが暮らしている。ただし、ラナリューンはイモータルであり、通常は本界サルカにいる、とされている。
彼女曰く、自分の顕現形態は本界にいる。この世界にある「サルカ」と呼ばれる宮殿は、自身の本界であるサルカにある宮殿の魔法的な投影であり、彼女自身も本界にいながらにして、主物質界に投影を作り出しているのだと言っている（ゆえに、主物質界に対して直接的には干渉していない、と）。
この説明は半分本当で、半分嘘である。本界サルカとこの宮殿には、恒久魔導門が存在しており、彼女自身が行き来することができる。また、宮殿は本界が本体ながら、彼女自身は主物質界の方が本体で、本界が投影である。
とはいえ、彼女は海で遭難した者を一時的にこの宮殿に住まわせたりするだけで、その救助ももっぱら僕たちに行わせているため、現実的にも介入といえるほどのことはしていない。これまでは。ただ、南極王国の王女シェナと、旧ドバヌール王国の王女ブリュンヒルデというそれなりに重要と言える人物が現在宮殿に暮らしており、これらを救助したことが今後主物質界にどのような影響を及ぼすのか、彼女自身判っていない。
かつてフェルナンド帝国皇帝アーサー・フェルナンドが、前身であるフェルナンド王国の王子だった頃、正体不明の軟体動物に付いて海に入り、訪れたことがある。