1,590.11.17生, 39歳(見掛け25歳). 身長159cm 体重52kg.
南極王国王女
ウェーブがかったマリンブルーの髪は、父王フェリルと同じだがより長く肩下まで伸びている。瞳はカーキ色。40歳になるがなお美しさを保っており、化粧も怠ることはない。中央にトパーズがついた金の細いサークレットと翠玉をつないだネックレスを付けている。細い身体に白とコバルトブルーの装飾の少ないドレスを着ている。
シェナは1,610年に南極王国首都タールミシアから脱出した。臣下で何の爵位も肩書もない貧乏騎士ブリーズと愛し合い、それを父に猛反対されたためである。父はあまつさえ、ブリーズを公衆の面前で罵倒しさえした。ブリーズは「いつか認めていただけるまで」と言っていたが、愛する人が父から受けた恥辱に我慢ができなかった。海に出るのは当然初めてのことだった。
しかし、払暁に新天地を目指して氷の海へ漕ぎ出した二人の小さな船は、あっさりと渦潮に捕まって飲み込まれてしまった。それを見つけた海底王国の女王ラナリューンが助け、自分の宮殿へ招待した。当初は大いに混乱していたシェナだが、ブリーズがいた。ラナリューンの庇護の元、変化の少ない海の底で、しかし愛のある生活を送った。彼女の逗留中にはフェルナンドのバークレオ・フェイズも船員たちとともにラナリューンの庇護を受けていたが、巨大な宮殿の中ではめったに顔を合わせることもなかったし、お互い相手が誰かなど認識していなかった。
1,628年になってブリーズが死に、その悲しみに浸っているときに、一人の少女が彼女の前に現れた。彼女はブリュンヒルデと名乗った。女だてらに軍服をまとった勇ましい姿をしているが、まだ15歳程度である。気丈に振る舞っているが、押しつぶされそうな不安と戦っていることはすぐに判った。目が醒めた当初の自分が、まさにそうだったから。自分にはブリーズがいたが、ブリュンヒルデは一人きりだった。そこでシェナは、少しずつ彼女と会話することにした。それはブリュンヒルデの不安を取り除くのみならず、シェナの悲しみを薄れさせることにもなった。
ただその代わりに、シェナは残して来た国と父王フェリルのことが気に掛かるようにもなった。ブリュンヒルデが両親のことを口にしたからでもある。何事にも厳格な態度を取り、品格第一、下っ端騎士であるブリーズとの交際を決して認めようとしなかった父。彼女が国を出てから20年が経ってしまっており、父は70歳を超えているはずである。もうこの世にいないかも知れない。それならそれで、せめて墓前で詫びたい、と。
妹ディミナのことも気にならないではなかったが、どちらかと言えば「恨みを買って殺されてなどいないだろうか」という類である。
1,614.1.3生, 15歳(見掛け同じ). 身長141cm 体重38kg.
旧ドバヌール王国王女（スロリクトラ・ドバヌール「王」の娘）
ドバヌール王国国王だったスロリクトラと、その妃リサの娘。駆け出しの魔術師であり海軍の軍人でもある。母から受け継いだオレンジ色の髪と、父の濃い青の瞳を持つ。野性味溢れる顔つきをしており、これもまた父の形質である。どちらかと言えば知識知恵ではなく感情的な両親を持ったにしては、ブリュンヒルデは（天才的とは言わぬまでも）かなり頭が良い。これはリサ・アーミンの祖先であるリンダ・アーミナル（永世王国26人衆）から受け継いだ形質でもある。盗賊としての技能は母リサに表れている。
1,629年のフェルナンド・ドバヌール戦役において軍艦の上から海に投げ出され、行方不明となっている。フェルナンドおよびアマリスの情報局がその後も情報を集めている。彼女はラナリューンのしもべに助けられ、現在は海底王国に暮らしている。当初はとても不安だったが、同じような境遇のシェナと会話をするうちに落ち着きを取り戻している。
彼女はラムサダスの娘のフロレンティナやアーサーの娘クリスティアに対して少々嫉妬している。彼女の声はアルトなのに、フロレンティナたちはよく透るソプラノだからである。
女王
海底王国を統べる存在。イモータルである。詳細はイモータルの詳細を参照。
海で遭難した者たちを助け、自身の宮殿へ招待して休息を取らせることもある。基本的に滞在期限はない。現在は南極王国の王女シェナと、先年滅亡したドバヌール王国の王女ブリュンヒルデが逗留している。