貴族

同じ新興国であるフェルナンド帝国やラムサダス帝国と異なり、アマリスでは前身となるジアザー帝国およびヘレネス王国の貴族制度が存続している。1,629年現在の帝国は一次的には州で分割され、それぞれ州知事を置いているため、貴族は地図上・体制図上どこかの州に属しており、県と同列となっているが、州都以外のいくつかの街を預かって独自に生計を立て、その規模に見合った税を国に直接収めている。

ただしクラストス州およびリーン州のみ、この例に外れる。クレストスは州都でありノード・ミッションが州知事として存在しているが、同時にザントリス伯爵の治める街でもあり、リーンも同様に州知事ヌヴァイ・レクスチェルとエリーザ・リーン男爵との共同統治である。クレストスは大商人のノードが、リーンはエリーザが街の発展に寄与し、主体となって支配している。いずれにしても、実質的に帝国には二重の支配構造（行政区分）が存在する。

領内の治安は名目上国軍あるいは州兵（存在する州であれば）の管轄であるが、貴族は私兵団を持つことが許されており、上位の帰属であれば国や州に関与させることは多くない。

貴族の権益はノブルランドやヘレネス王国時代と比べれば大幅に縮小されており、領地もまた縮小されている。基本的には領都を中心に伯爵以上なら72マイル、子爵男爵は24マイル程度である。街の統治と税収だけでは使用人を抱えるほどの収入にはならないため、多くは牧場や農場を経営したり、服飾品や装飾品を生産したりしている。先祖から受け継いたものだったり、移住後に地で新たに始めたものだったりする。ノブルランド出身の貴族は、自力で移設しない限り一からやり直すか、新規事業を興すしかなかった。

建国帝ジアザーの代に平民に格下げされた貴族はいるが、その後新たに加わった貴族はない。その長男である現皇帝ジアザー2世もまた、急進的な変化は望まぬものの、貴族はいずれなくなるべきものだと考えているため、新たに誰かをその列に加えるつもりはない。

なお、ノブルランドでは貴族制度自体が体制上階層構造をなしていた。尊厳者の直接の配下は公爵のみであり、男爵・子爵は伯爵・侯爵の、伯爵・侯爵は公爵の支配下にあった（ただし領地はそれぞれ別であり、隣接もしていなかった）。この構造はジアザーによる支配体制が確立した際に廃止され、各家の交流や力関係はともかく、公式にはすべて皇帝直下となった。

混沌戦争で当主が死亡した家は、仮に跡取りがいたとしてもジアザーの方針により爵位返上となっている。その後も当主が死亡した場合は特別な事情がない限り爵位返上としているため、生前に代替わりする例が多い。

ジアザー帝国・アマリス帝国の主な貴族