エルヴァートとその他の世界との相関

＜次元構造＞

神話次元内のヌーベルアヴェロワーニュはX2モジュール「アンバー家の館」および Mark of Amber の世界（クラーク・アシュトン・スミスが「イルーニュの巨人」The Colossus of Ylourgne で描いた世界と関連）。旧D&D^®多元宇宙内のティバーサティンは高校時代の先輩S氏の世界である（エルヴァートにはこの世界出身の人物が3人存在する）。

ドレステン、エントレム、ミラージュ、ブリン、ピッツはそれぞれ星界に隣接、古アルファティアはドレステンの先という設定があるが、上図には盛り込んでいない。

エルヴァート多元宇宙内の外方界については実存界と次元を参照。ハーフリングのみ、人間同様各世界の固有種である。このため各世界において若干の差異が存在する可能性がある。

設定の解説

旧D&Dでは、多元宇宙は星界を起点としてその「内側」の大きな円に内方界（主物質、希および元素で構成される）、「外側」あるいはその「ただ中」に外方界を配置する^※1。エルヴァートでもこのモデルを採用している。ただし、異なる点もある。

旧D&D^®では、各自のキャンペーンは主界内のどこか、惑星ミスタラあるいはそれ以外の星が舞台であると想定している。エルヴァートも当初（Immortals Rule set^※2、所謂「金箱」）の頃には、単に旧D&D^®の星とは別の星と漠然と考えていた。しかし、その後の設定拡張（ミスタラ設定）で、金箱の内容はイモータルの個性や位置づけが明確に提示されたWrath of the Immortalsに置き換わった。そのとき、これを採用するとなると、旧D&D^®の宇宙へ単に「別の星」として適合すると大きな問題があると気づいた。

「最初のイモータル」の存在である。エルヴァートでは、「最初のイモータルからの歴史」および「各領域の教主級のイモータル」を構築していた。エルヴァートに限らないが、そういう存在があると、イクシオンやタナトスといったミスタラの原初のイモータルたちと齟齬が生じる。イモータルの群は多元宇宙で1つしかないからである。ミスタラのイクシオンがエルヴァートのル・ソレイユを知らないのはおかしい。すなわち、エルヴァートを旧D&D^®の多元宇宙に配置することはできない、ということになる。ただし、ミスタラ世界とエルヴァートとを行き来したPCが存在する以上、もはやミスタラを「存在しないもの」とすることもできない。

このためエルヴァートを、別の次元に存在する星というように定義し直した^※3、というよりせざるを得なかった。つまり、多元宇宙と同様の構造をもう一組用意し、それぞれのイモータルにさえ不可知の次元結節によって紐づけた。次元は無数に存在していると示唆されている^※4。ミスタラのイクシオンらもエルヴァートのル・ソレイユらも、彼らが属する多元宇宙においては「最初のイモータル」である。

同時に、ル・ソレイユらの設定にも手を入れた。プレイ当時、彼ら8柱は法／混沌のプールから直接生まれたという設定だった^※5。これを、別の次元でイモータリティを得た存在を＜古き者＞がエルヴァート多元宇宙に最初に配置した、と再設定した。プールから生まれたというのは、彼らの改竄された記憶であるとした。

当時から、最初に＜古き者＞サダクーロが宇宙を作り、その後中心に太陽セシオスを置いた、という設定を作っていた。これはB.C.200億年前とB.C.50億年前で、単に我々の住むこの宇宙と太陽の年齢を適用したものだった。宇宙＝主物質界であり、その頃は気づいていなかったが実際にはこの時点で旧D&D^®とは齟齬が生じていた^※6。

なお、＜古き者＞となると次元の全体構造を知覚することができ、産まれ育った次元を自由に出て別次元へ行くこともできる。このためイクシオンとル・ソレイユのどちらが先に存在していたのかも、＜古き者＞は知っている。

旧D&D^®との違いは以下。

1. 旧D&D^®ではPrime Material Plane/Material PlaneではなくPrime Plane。エルヴァートでイモータルを作成し始めた頃、先にAD&D^®でPrime Material Planeという語を知って訳していたため、後に出てきたPrime Planeに違和感を持ち、採用しなかった。

旧D&D^®（およびエルヴァート）から見た、現在のD&D^®およびその旧版（AD&D^®）の違いは以下。D&D^®を離れたこともあり、エルヴァートへの適合は考えていない。（）内はホビージャパン邦訳版。

1. Outer Plane（外方次元界）は、（版により名称は微妙に異なるが）AD&D^®1eで紹介されたGreat Wheel（大いなる輪）概念由来の16群。それぞれが複数のPlane（次元界）で階層を成している。2eでGreat Wheel Cosmology…宇宙論として整理。旧D&D^®多元宇宙では外方界は無数に存在し、他の界との関係は外方界により様々。
2. 通常の冒険の舞台がある宇宙は、旧版ではPrime Material Plane（主要物質界）、現在はMaterial Plane（物質界）。二次元投影位置は近年ではAstral Plane（アストラル界）とInner Plane（内方次元界）の間にされたり様々。旧D&D^®のPrime Material Planeは多元宇宙の中心。
3. Ethereal Plane（エーテル界）とAstral PlaneをまとめてTransitive Planes（中継界）と呼ぶ。旧D&D^®のEthereal PlaneはInner Planesのひとつ。Astral Planeは単独で多元宇宙の基準点。
4. 旧版では物質界に付随したPositive（正の）/Negative（負の）の物質界があり、新しい版ではフェイワイルドとシャドウフェル、Elemental Plane（元素界）と同列に置かれたPositive/Negative Energy Plane（エナジープレーン）、Elemental Chaos（元素の混沌）、そして多数の準元素等の名が見える。版により微妙に異なる。いずれも旧D&D^®にはない世界。
5. オアース（グレイホーク）やトリル（フォーゴトンレルム）など、すべて同一構造を成した別次元（Great WheelあるいはPlanescape宇宙論）として整理。Outer Planeは独自構成を採るエベロンを除いてすべて上述どおり16群。旧D&D^®のDimension（次元）は多元宇宙と同レベルの概念であるが、その構成は次元により様々。