人物

1,615.3.19生, 14歳(見掛け同じ). 身長155cm 体重31kg.

第一王子

第二妃ブレンダの息子。王太子。王女リルルの弟にあたる。国法によりリルルの王位継承権は全男子の次になる。その夫（ワイズ・ドリアバード）には王位継承権がない。

母から受け継いだサルビアのような青い髪と同じ色の瞳を持つ。厳しい母に育てられ、気弱な面がある色白の心優しい少年。母に喜んでもらうことだけを考えていたため、平均以上にできる学術だけを頑張り、それ以外を徹底的に避けるようにしてきた。とくに武器は不得手であるが、母がアケルナーが戦うことを好まなかったためほとんど訓練らしい訓練もしていない。

その反面、いざとなれば戦うことのできる姉リルルに心惹かれてもいる。とくに1,626年の反乱によって母を亡くしてからは顕著であり、同時に母を亡くしたことで自分が今後どのように生きれば良いのか分からなくなっている。ただ、自分は王太子なんだ、周囲に心配をさせることはすまい、と打ち明けられずにいる。

1,613年生, 16歳(見掛け同じ).

第三妃

現在の王妃。宰相バジル・ブランダーの見立てによって1,627年に妃となり、翌年第二王子ヒアデスを産む。

1,593年生, 1,612年死去, 享年19歳.

第一妃

大陸から来たという父親から引き継いだブロンドの髪をファラントがひどく気に入り、1,608年に妃とした。もともと体力がなく、自身は長く生きられないと考えて権力欲もなにも持たない女性だった。翌年王女リルルを産むも3年後に死去。

1,570.10.26生, 59歳(見掛け同じ). 身長151cm 体重49kg.

宰相

若い頃は豊かだったローアンバーの髪の髪は、現在は白いものが混じりつつ両耳の上にわずかに残る程度である。瞳はレーズンのような色。視線は厳しいが、性格的には穏やかな方であり、感情に流されることも少ない。肌は年相応に皺が入り始めている。

マスデプトのごく一般的な家庭に生まれたごく普通の子であった。10歳のときに教会で雷に打たれ、気絶した。左足を引きずるようになり、右足も満足行くほどには動かなくなった。これによって子供の頃から目指していた戦士の道は閉ざされたが、代わりに彼は抜群の記憶力と発想力を獲得した。馬具座教の僧侶として、順調に地位を高めた。そして15歳のとき、前王リージェントの側付きに抜擢され、さらにその6年後、1,591年に第二王子マンチェストが生まれるとその養育係を任じられた。

しかし、マンチェストは彼の目から見て到底王たる器ではなかった。長じるにつれて尊大さが鎌首をもたげるようになり、自分が王になるべきだと何の根拠もなく言ってのけた。兄と違って腕っぷしが強く、侍女に暴力を振るうことも多かった。兄弟仲は最悪で、なにかにつけていがみ合い、口論も絶えなかった。バジルがマンチェストに見切りを付けたのは彼が15歳になる頃だった。それからも表向きはマンチェストに仕えていたが、その裏で密かにファラントと通じ、来たるべきときにマンチェストの元を去る手はずを整えた。

1,611年、国王リージェントが死去した。バジルの目の前で、マンチェストは「俺の時代が来た」と言った。その夜、バジルはマスデプトを脱出してファラントの元へ走った。翌朝マンチェストは怒り狂ったが、さすがにジャミウスまで追いかけて来ることはなかった。そして1ヶ月の戦いの後、マスデプトは陥落した。バジルはファラントから宰相位に任じられた。1,614年、混沌戦争での負傷を癒やしている間にファラントは上級民フロリアンの娘ブレンダを妃とした。復帰したバジルはこれに異を唱えたが、決まったことだとして退けられている。それはフロリアン父子の性格に一抹の不安を覚えたからであり、1,626年の反乱は彼にとって起こるべくして起こったものだった。

記憶力の良さで国政について助言をする。ただ、ファラントもまた博識であるため、その場面はそれほど多くない。どちらかといえばそうした知識に基づいた大胆な発想で、国王を補佐する。第三妃桜・サルガスの輿入れは彼の進言によるもの。

1,628年生, 1歳(見掛け同じ).

第二王子

第三妃サクラの息子。リルル、アケルナーの弟。王位継承権第二位。

1,590.2.5生, 39歳(見掛け同じ). 身長170cm 体重63kg.

国王

茶色い（紅海老茶）髪と、白練の瞳を持つ。現在は口髭と顎髭を蓄えているが、印象を変えるために数年ごとに完全に剃ってしまう。やや光に弱い瞳のために色付きの眼鏡を掛けている。肌は母親の浅黒さを引き継いでいる。性格的にはやや高慢なところがあり、強引さが顔を覗かせることがあるものの、基本的には笑みを絶やさぬ人物であり、また学問を楽しむ学者肌で博覧強記と評しても良い記憶力もあいまってしばしば革新的な行動を取る。国民からの人気はそれなりに高い。

強い戦士として有名だった父王リージェントの教えもあって戦士としてそこそこの修行はしたものの、才能もなくあまりものにはならなかった。馬具座教の僧侶としてもある程度経験を積んでいるが、それも過去の偉人たちと比べれば大したものではない。どちらの面でもすでに娘のリリルの方がよほど上である。ただし乗馬に関してだけは、まだリルルよりも優れている。そして記憶力も。

1歳年下の弟マンチェストとは幼い頃から仲が悪かった。思考法も趣味も何もかもが異なる二人はお互いを嫌い、15歳になる頃には相手を殺しても良いと考えるほどだった。父王が崩御した1,611年、その喪が明けるや否や二人は王位を巡って戦端を開いた。首都ジャミウスに拠るファラントに対し、マンチェストは東岸のマスデプトを根拠地として幾度となく戦った。とはいえ、さほど広くない島国である。お互い島の地理は知り尽くしている。取り得る戦略も限られており、ファラントは1ヶ月程度でマスデプトを陥落させた。マンチェストは側近や妃と国外逃亡を図り、現在に至る。マンチェストは現在、モールドの南西、ラムサダス帝国アルリア島に潜伏中である。

1,626年の全島規模での反乱では打つ手がなく、出陣したリルルの無事を祈りつつ城に閉じこもる毎日だった。2ヶ月を過ぎた頃に魔術師ボアビスタは討たれ、人々はリルルの奇跡を口にした。ところが帰還したリルルはワイズ・ドリアバードという男を伴っており、そのワイズがリルルを妻にしたいと口にしたことで激怒した。ファラントは部屋に閉じこもってワイズやリルルの顔を見ないようにした。噂を伝え聞いた国民も、国の宝を奪われてなるものかといきり立った。さらにリルルが義母にあたるブレンダを殺したと聞いてさらに怒りを深めた。それから毎日リルルは彼に面会を求めて来たが、ファラントは会おうとしなかった。1週間後、根負けしたファラントがリルルを部屋へ招じ入れると、リルルはことの顛末を正直に話した。自分一人ではボアビスタ相手になすすべがなく、捉えられて洗脳されかけたこと、そうなっていればボアビスタにどうされていたか、父王や国民にどれだけの厄災をもたらしたか分からないこと、ワイズが現れて自分を救い出し、ボアビスタを討ったこと。つまり自分は何もしていないことを。

ファラントはワイズを認めることにした。彼が伝説とも称される永世王国26人衆だと知ったのは、この後である。ただ、これまでの非礼を詫びはしたが、リルルをこのまま国外に連れ出されることだけは頑として首を縦に振らなかった。ワイズは長距離移動を苦としない卓越した魔術師であったため、リルルをそのままジャミウスに留めることを承知した。リルルから口止めされたために全容は明らかにしなかったものの、ワイズがリルルの命の恩人であること、彼を認めることを国民に向けて伝えると、国民の感情も徐々に落ち着いていった。

1,600年生, 1,626年死去, 享年26歳.

第二妃

1,614年に妃となって翌年アケルナー王子を産んだ。サルビアの髪と瞳はアケルナーと共通する。

第一妃シスリーと違い、自身の欲に忠実であった。フロリアンは上級民の家柄であり、父親がファラントに娘を妃とするよう進言した。ただ、ファラントは結局シスリーを忘れることができずにいた。ブレンダにとってはそれも不満の種であった。

1,626年に邪悪な魔術師ボアビスタに唆されて反乱軍に参加。その間にボアビスタに洗脳され、欲望のはけ口ともなっていた。これによって彼女の身体は回復不能な域まで混沌に侵されることになった。26人衆のワイズ・ドリアバードによる鎮圧の後、リルル・カノープスに殺されている。

1,609.8.10生, 20歳(見掛け同じ). 身長170cm 体重51kg.

王女、最高司祭、26人衆ワイズ・ドリアバードの妻

第一妃シスリーの娘。王位継承権第三位。幼いころから美少女として国民の人気が高く、「国の宝」とも称された。母譲りのブロンドのストレートヘアを腰まで伸ばしている。エメラルドと形容される瞳は、きっと締まった表情に良く映える。頭には装飾のない銀のサークレットをつけている。この国の女性にしては高身長であり、その上ヒールのある靴を履いている。全体として華奢な印象を与えるが、身体はしっかりと鍛えていて司祭ながら戦士たちにも遅れを取ることはない。国教馬具座教最高神のひとり月読の化身とも言われる。

明るいオレンジ色のドレスを良く着ている。このドレスはスカート部分は足首まで隠れるスリットのないものだが、上半身は腰から伸びた布で胸を隠して首の後ろで輪になっているもので、肩から腕、そして背中は露出しており、胸元も見せている。グリップ以外の部分は直方体のような形の、黒光りする金属のロッドを手にしている。このロッドは攻防一体の力あるものであり、ハイメタル製だと言われている。

1,626年、人気絶頂の17歳のときに発生した国民反乱を鎮圧した。実際には国を訪れたワイズが鎮圧したものであり（ただし加担していたブレンダにとどめを刺したのはリルルである）、ワイズは彼女を妻とすることを希望した。父王も国民も激怒したが、その後父がワイズを認めるようになり、反感は下火になった。

1,580年生, 49歳(見掛け同じ).

上級民

モールド王国に3家族しかない上級民の当主。第二妃ブレンダ・アルナイルの父。娘の高圧的な態度は彼の性格によるところが大きい。ヘーゼルの髪、黒い瞳と黒い眉を持つ。カールした髪は肩下まである。

混沌戦争でショックを受けていたファラントに付け込む形で、跡継ぎを設けるべきだと進言して娘のブレンダを強引に輿入れさせた。翌年には目論見どおり王子アケルナーが生まれ、外戚として彼の権勢は増した。ブレンダがアケルナーを溺愛して強く鍛えようとしないのは計算外であったが、それでも彼が将来の国王になることはほぼ確定事項であり、とくに咎めもしなかった。

しかし、1,626年になって彼女が魔術師ボアビスタに洗脳されたことはさすがに想定外であった。ブレンダはあろうことか城を抜け出して反乱軍に合流してしまった。一度はレスター自ら説得に出向いたが、彼女はまったく聞く耳を持たなかった。仕方なく誰かが反乱を鎮圧してくれるのをおとなしく待つことにした。その結果、たしかに反乱は鎮圧されたが、それが王女リルル・カノープスによるものであることは些か気分が悪かった。さらにリルルがあろうことかブレンダを殺害したと聞き及び、それが外国人の進言によるものだと分かると、リルルとその外国人…ワイズ・ドリアバードに対して恨みを抱くようになった。

リルル・カノープス・モールドの夫

永世王国の人物参照。