人物

1,592.4.22生, 37歳(見掛け17歳). 身長154cm 体重39kg.

女王

20年にわたりミア・ラマルクを支配する女王。外見は10代の少女のそれである。淡い金髪に青い瞳も美しく、よく微笑み、周囲を魅了する。森の動物たちと心を通わせ、小川や風の声に耳を傾ける。一見してごく普通の少女であり、話しかければ気さくに会話に応じる。知識は森のことが中心となるが、外界についても無知というわけではなく、広く薄く様々な事柄に通じている。

しかし、その実彼女はエルヴァート最強とされる魔術師の一人である（正確には、カレンティシアスのニアラシェール・イ・カイルハラスに次ぐ二位）。その容貌にから彼女を無力な少女と侮る者は後を絶たない。それだけなら良いが、「女王を殺せばこの森は自分のものになる」などと考える者も、時折表われる。しかし、そうした考えを抱いた者に、10秒と生き存えた者はいない。

ほとんどの場合そうした感情を抱いたが最後、自覚することなく絶命している。アリスはこうした感情を敏感に察知し、瞬時にこれを排除する。この知覚範囲はエストア森全体におよぶ。彼女の眼前であれば1秒以内に、周囲1km程度でもわずか数秒で、必殺の攻撃が降りかかる。それ以上離れていればある程度時間的余裕があるので、それと判っていれば例えば瞬間移動魔法により離脱することは可能である。この攻撃は光線や火球の形ではなく、当人がピンポイントで殺害されるため、周囲の者からは突然倒れ、死亡したようにしか見えない。最高ランクの魔術師でない限り、あらゆる防御系の魔術を貫通して届く。

彼女の大いなる魔力は、世界中の軍隊と魔法使いを敵に回せるほど巨大であり、ホーストヘルンのアルケイナ筆頭・＜愚者＞にさえ勝利しうると言われる。また、ミア・ラマルクがエルヴァートと同時に存在しているリンデンヴェイルでは、紛れもなく最強の魔術師である。彼女が何者か知って、なお敵対しようなどと大それたことを考えるのは、自尊心の並外れた者たちや本物の愚か者くらいであろう。「君子危うきに近寄らず」の至言は、この世界でも充分に通用する。

ただし、幸か不幸か彼女の関心事はオートローインクの街およびエストア森の平和と安定だけであり、森の外の世界には関心がない。近づきさえしなければ注意を向けられることはない。とは言え、これは同時に、どれほど深刻な事情を抱えて大いなる力の持ち主を欲しても、森が関わらない限り彼女の助力を得られる可能性がゼロであることをも意味する。

攻撃意志でも、物理的なものではなく性的なものなら、察知はされるものの、行動に出ない限り彼女から即座に攻撃されることはない。

得意とするのは基本的には防御系の魔術である。森全体およびオートローインクには、彼女による二重三重の結界が張られている（この結界は母から子へ受け継がれるものであり、子が即位するあたりで重ね掛けすることで消失を防いでいる）。ただし敵対的な存在として近づく者がいれば、攻撃魔術を用いることにためらいはない。

彼女の正体については、リー族を参照。

まったくの偶然だが、フェルナンド帝国皇帝アーサー・フェルナンドと同じ年同じ日の生まれである。

1,610.6.1生, 19歳(見掛け同じ). 身長154cm 体重40kg.

王女

母親とほぼ同一の容姿を持つ娘。わずかにふっくらした体型をしているが、ほとんどの者には分からないほどである。

魔力は成長中であり、母親のように絶大な力を持っているわけではない。しかし、それでも駆け出しの戦士や魔術師が相手にできる存在でないことは確かである。

彼女にはシルキーという名の姉がいた。しかしシルキーはセルマリアが生まれてすぐに死んでいる。

リンデンヴェイル・バビローノ族アル・ミッシェリア人でミア・ラマルク在住。1,624年のモーデンケルンの乱鎮定後、女王の命を受けてパットンやジューコフらの元を訪れ、ミア・ラマルクへ誘う。