リー一族はリンデンヴェイルの特殊な一族であり、厳密には人間ではなく人間同等の魔法生物である。魔法は心臓の隣にある生命核そのものに埋め込まれている（以下生命魔法）ため、モータルレベルではディスペル不可。イモータルの破砕日においてさえ、一日魔法的な性質が失われただけで翌日には回復している。しかし、人間と同様怪我もすれば病気にもなる。不慮の事故で死ぬこともある。ほかの魔法の影響も受ける。なお、生来の魔術師であるが、生命魔法は日々の魔術行使によって少しずつ減衰し、ほとんど回復しない。
肉体変化は15歳程度で完全に停止する。あとは何年生きてもその時の姿を取り続ける。人間のそれとは異なるが、生命魔法が尽きた時（あるいは何らかの手段で破壊されたとき）が寿命であり、その期間はそれまでの魔術行使にも左右されるが一般の人間同様50〜80歳程度である。
最大の特徴は、両性ではなく単性生殖であること。この一族は子供を産むのにオスを必要とせず、本人の意思だけで子供を宿す（元々オスは存在しない）。妊娠可能な最低年齢は今までの統計によれば11歳である。異なる生命体からの組織が入らないため悪阻は発生しない。さらに子宮は持っているが分娩は必要とせず、腹部の表側から魔法的に分離する。
このとき、新たな生命魔法は生命魔法を含め母親の素体のコピーである。従って誕生した瞬間は母体の生命魔法と同等の寿命しか持っていない。ただし、5歳程度に達するまでは特別に生命魔法が増幅する期間になる。これが、多くの場合リー一族が10代前半、妊娠可能年齢になると次代を産む理由である。可能な限り消耗のない状態をコピーし、可能ならば自分以上の魔法容量を持たせたいがために。
セルマリアは1,610年、アリスが18歳のときの子供であり、次女である。12歳で産んだ一人目の子シルキーは、セルマリアの産まれた直後に死亡した。アリスの魔力を持ってすれば蘇生させることも可能であったが、リー一族の蘇生には自身の生命魔法を大きく削らねばならず、しかも生命魔法は完全には回復できない。産まれたばかりのセルマリアのことを考えてもその選択は取ることができなかった。時間が経ちすぎているため、現在ではアリスの魔力でも蘇生はできない。アリスは3代続けて母親が11歳のときの子であり、その間に大きな魔力の蓄積が行なわれた。