アイスラントの項で触れたように、この地の大半は1,630年現在アマリス帝国の領土である。アマリス帝国がこの地を得たのは、1,614年のジアザー・フェルナンド連合対アイスラント戦争の後で、これに先立ってアイスラントはエルドレス神国を占領していたが、ホーメルト二大国を敵にしたことが運の尽きであった。
戦後アイスラントはフェルナンドへ、エルドレスはジアザーへとそれぞれ組み込まれた。一時アイスラントはフェルナンド公国となったが、1,615年のアイスラント・ノブルランド交換条約によってアマリスのものとなったのである。
1,617年には領都エカトリノを中心として中規模の反乱があり、皇帝ジアザーはその主力兵団である白色騎士団をもって鎮圧した。ジアザー2世即位によってアマリス帝国と名を変えたこの国の、現在この地における統治はおおむね公正であり、以来小規模な不平不満を訴える集会はあっても大事件には発展していない。
港町であるゴーニッヒには、首都アマリシアに次ぐ帝国第二の軍港がある。ここは天然の要害であり、北洋・アイスラント方面に睨みを利かせるとともに、アマリシア艦隊と連携してバルン海にも展開することができる位置である。さらに、帝国は目下ケルマド教国の併合を目論んでいるため、その最前線基地となることは誰の目にも明らかである。ケルマド併合が成れば、オージャスにおけるアマリスの覇権は確定されたようなものである。ライトネア連合王国・ファームズ帝国といった数年来の抗争相手がこれをどう見るか、フェルナンドやラムサダス帝国といった同じ超大国の伺うところである。
エルドレスは高緯度のため、年平均気温は10℃程度にしかならない。このため農業分野では南方諸地域には及ぶべくもない。また中央部にエルドレス沼があり、これがエカトリノとゴーニッヒを結ぶ線の一大難所となっている。南にまわってハリル森林、サンダー森林との間を通過する（アトリアン、ソーディッヒ、ロークヒートを経由する）コースが確実だが、通商路としてのこのコースは絶えずハリル森林に巣食う野党やモンスターのねらう所になっている。安全を期するならまず北へ向かって港町カールヴィクへ出、そこから海路ゴーニッヒへ向かうべきである。概して点と線との開拓であり、寒冷な地域ゆえに大規模な施設などは建設しにくい。