人物

1,558.11.25生, 71歳(見掛け80歳). 身長145cm 体重38kg.

はなれ山の魔女

ズィドラス大陸随一の力を持つ老婆。表エルヴァートやホーストヘルンの術師と比較すればその実力は決して高くないが、ズィドラス大陸には魔法の使い手が少ない（シルヴァーピークのシルヴァナルフェンは除く）ため、大陸最強である。ただし彼女自身は、自身の力がどの程度のものかなど気にしたことはない。比較する者がいないことも関係している。

生まれはシトカ王国ルシダであるが、一般には噂レベルでわずかに知られているのみであり、大半の者はそもそも彼女と関わりを持とうとしないためにあまり気にしていない。1,580年にモクレインへやって来てはなれ山を住処とした。

不器量さに加え、生来ふけが多量、さらに生まれついての病気により体中から腐ったような臭いが噴出しているため、周囲からいともたやすく毛嫌いされる。本来の性格は慈悲を知り、人助けを苦としない穏やかなものであったが、彼女に技を伝授してくれた老魔術師以外はまともにコミュニケーションを取ることすら難しかった（その師も、本心では彼女がそばにいない方が良いと考えていたことも、彼女は知っている）。師が死んだとき、彼女が難を逃れるには迫害を受けた者たちの拠り所と言われるモクレインへ来るしかなかった。しかしそのモクレインでも、ほとんどの者は醜悪な彼女を避けたし、一部の者は露骨な嫌悪を示した。彼女はそんなことは既に慣れっこだとばかりに内心を隠し、人の寄り付かないはなれ山の山中にひとり分け入ることになった。

灰色のぼさぼさ髪の一部に明るい紫のメッシュを入れている。瞳はイエローグリーン。肌は土のような色でシミとシワに覆われ、方々にこぶやアザがある。枯れ茶色の質素なローブをまとう。色の濃い樫の杖を持っており、いくつかの魔法を閉じ込めている。魔術を支える優秀な頭脳はいまだ健在である。

披露する機会は限られているが、鍼師としての腕もエルヴァートでは特筆すべき存在である。このためにわざわざはなれ山へ向かう者も中にはいる。

1,545.1.11生, 84歳(見掛け45歳). 身長151cm 体重38kg.

前代影のモク

影のモクとは、女王と交わって次代の女王と影のモクを生み出すための存在。これは表のモクである国王さえも知らない、王家と長老会議だけの秘密である。

ティアの兄でラスの実父。ティア以外の兄弟は1,629年現在全員死去している。

1,560.8.27生, 69歳(見掛け同じ). 身長136cm 体重69kg.

ドワーフ代表

モクレインに住むドワーフの代表。国内のドワーフは全員が、首都モクレインに居を構えている。生来の盲目で、地下空間での生活ができない存在として故郷では抹消対象だったが、両親が地表に連れ出し、ノームの友人に預けた。しかしそこでもいじめの対象となってしまったため、ノームの友人は彼をモクレインに送ることにした。モクレインの穏やかな人たちと、彼以外の故郷を追われたドワーフたちに囲まれ、カダッシュは訓練によって道案内役と杖さえあれば国内のどこへでも行けるようになった。争いを好まない穏やかな性格と人柄で、彼はいつしか100人ほどいるドワーフたちの代表になった。

1,502.12.30生, 127歳(見掛け50歳). 身長145cm 体重40kg.

主席バード、長老会議筆頭、ヒルテミス市長

長老会議の筆頭を務める壮年のハーフアルフのバード。モクレインに伝えられるすべてのバード魔術を会得している。彼は決して年長の者ではなく、どちらかといえば年少側に属するが、楽器の扱いを含めたバード魔術においてはモクレインのみならず世界でも最高ランクに位置する存在であり、彼以上に筆頭に相応しい者はいないと全員が納得している。モクレインに住むハーフアルフの父と母の元に生まれ、外の世界に出たことはほとんどない。ともに暮らす女性もハーフアルフ。両親をはじめ、祖先は代々長老会議に名を連ねている。

白金の流れる髪は、アルフといっても十分に通用するくらいにきらびやかである。瞳はサファイアかブルートパーズのようにきらめく。大きな魔力を帯びたリュートをかかえた姿が見られる。衣装は白の上に鮮やかな赤のチョッキを着ていることが多い。ルビーを付けた首飾りを下げており、これもバード魔術の道具のひとつである。肩にシマフクロウや白鼠などを載せていることがある。これらは広く国内に散って情報を集める彼の目である。

博識にして勇敢。普段は一見すると穏やかだが、常にどこかこわばったような厳しい目をしている。剣を手にすることはないが、戦士のような雰囲気も持つ。ただ、国と王家を守ることには常に積極的に行動するが、それ以外、例えば農作業や娯楽などには興味がなく消極的とも言える。一時は第6代女王サヤ（現女王ラスの祖母）の夫となることも検討されていたが、本人たちにそのつもりがまったくなかった。彼にとって王家は少し離れた場所から護り奉る存在であった。長老会議に名を連ねる者として、この国の王が完全なお飾りであることは十分分かっており、そんな存在になるつもりもなかった。一方のサヤにとってサレスティンは冷徹で一片の面白みもない堅物だった。結局サレスティンは、同じ長老会議から妻を得ることになった。

表エルヴァートにいるティミル・アンダーソンの父、マーヴィンの師でもある。マーヴィンにはそれほどの才がなく、大きな力を持つことはできなかった。ティミル自身はそんなマーヴィンによって教えられた初歩の技を、世界を旅する中で独自に高めており、父の領域はとうに凌駕している。

1,578.6.17生, 51歳(見掛け同じ). 身長170cm 体重65kg.

ネヒル町長

人間の街ネヒルを治める中年男性。モクレインに逃れて来た時点で戦士として鍛え上げられた存在であり、モクレイン全体の自警団の団長も兼ねている。ただしモクレインには元々戦士が少なく、諸事はサレスティン・フロルディス率いる長老会議とバードが行なっているし、こと防衛に関してなら元々隠されている上に守護獣があるため、戦士の出番はそう多くない。

1,619.1.15生, 10歳(見掛け同じ). 身長113cm 体重26kg.

ラスの妹

ナミリとともに、レイン候補として生まれた存在。身体にこそ異常はないが、知能に先天性の障碍を持ち、10歳になっても会話ができない。彼ら以外の兄弟は1,629年現在全員死去している。

1,620.8.14生, 9歳(見掛け同じ). 身長107cm 体重24kg.

ラスの妹

セセリとともに、レイン候補として生まれた存在。ラスがレインと認められなかった場合に備えて産まれたが、ラスはそのままレインとなった。彼ら以外の兄弟は1,629年現在全員死去している。

1,610.7.11生, 19歳(見掛け同じ). 身長154cm 体重38kg.

影のモク

ラスの兄であり、ラスに次代の王と女王を授けることがその責務。ただしラスが極めて脆弱な肉体しか持っておらず、次代を産むことが可能かどうか、長老会議でも意見が分かれている。

ニオス、ラス、セセリ、ナミリ以外の兄弟は1,629年現在全員死去している。

1,612.11.19生, 17歳(見掛け同じ). 身長163cm 体重59kg.

王

ハーフアルフ。この国の王は平民から選ばれ、対外的に配偶者として見せるためだけに存在する名目上のもので、大きな実権はない。

1,550.9.27生, 79歳(見掛け40歳). 身長164cm 体重34kg.

第7代女王

先代の女王でラスの母。1,601年に即位して1,624年に退位した。これまでの最短は2代エリの25年だったが、それを超える短さとなった。

2代エリを除き、これまでの女王は母の6代サヤを含めて近親婚には諦観を持って応じてきた。しかし、ティアは母たちと異なり、この伝統に強い疑問と拒絶感を持ちながら、兄イヴァの子を産んだ。可能なら娘のラスに自分と同じ苦しみを味わわせたくはなかった。5歳のラスは極端に体力のない少女だったし、その後に生まれたセセリは知能の片鱗も見えない障碍児だった。相談直前に生まれたナミリはまだわからなかったが、ティアはラスを案じて心落ち着かぬ日々を過ごしていた。そこでラスあるいはラスの子供の代での解放を願って、1,620年にはなれ山の魔女アンデリサを訪れた。魔女に王家の呪いを解くための方策を相談することにしたのである。アンデリサは、「ラスが9歳になる前に譲位すれば道が拓ける」と語った。

アンデリサは6代サヤの即位後にモクレインに来た魔女であり、王家はこれまであまり関わりを持たないようにしていたが、そうした魔術知識をふんだんに持った高度な術師の見解は貴重であると判断したティアが長老会議に持ちかけた。長老の一部から反対もあったが、最終的にはティアが意思を通した。ティアは8歳の8月までねばった上でラスを即位させた。

残念ながら、長老会議によってラスは予定どおり兄ニオスと結ばされることになったが、ティアはアンデリサの示した道を諦めていない。

イヴァ以外の兄弟は1,629年現在全員死去している。

1,615.10.14生, 14歳(見掛け同じ). 身長137cm 体重27kg.

第8代女王

1,624年に即位した現女王。近親婚の影響が外見に現れており、肌は白く髪は銀、瞳は赤、そして病気がちでひどく痩せている。バード魔術の使い手でもあるが、体力がないため多くの術を使うことは出来ない。ニオス、ラス、セセリ、ナミリ以外の兄弟は1,629年現在全員死去している。

即位時、彼女はわずか8歳である。ハーフアルフであることも考えればあまりに若い。これまでの歴史では5代トリルの14歳があったが、それをはるかに超える若さだった。何より母のティアはまだ存命である。これはティアが、はなれ山の魔女アンデリサに王家の呪いを解くための方策を相談したことによる。母は長老会議の反対を押し切って、その言に従った。

自分が脆弱な肉体しか持っていないことについて悲しんではいるが、まだ幼いため、母と異なり王ではなく近親と子を成さねばならないことへの疑問は抱いていない。

1,556.2.2生, 73歳(見掛け40歳). 身長152cm 体重36kg.

前王

先代の王。現在のネリド同様、平民から選ばれたハーフアルフである。

1,570.6.19生, 59歳(見掛け同じ). 身長124cm 体重33kg.

リドウィッジ町長

ハーフリングの街リドウィッジを治める壮年のハーフリング。モクレイン生まれの4代目。黒い短髪とコルクのような色の瞳で知られる。この国のハーフリングは大半がリドウィッジにおり、一部がモクレインに住んでいるが、ほぼ全員が商売と輸送に従事している。ワッシュ自身も木材を扱う商売人である。