人物

1,617.11.12生, 12歳(見掛け同じ). 身長130cm 体重34kg.

女王

「高地の国」と呼ばれるエス・ヘルデナドを統べる女王。きょろきょろと良く動く瞳は紫色。肩まで伸ばした髪はパールホワイト。年齢相応の容姿である。淡めのベージュの地にマルーンで装飾を入れた服を着ている。高地であまり気温は上がらないが袖なしで、スカートも膝丈、裸足である（これは彼女の民もすべて同じ）が、寒い日には毛皮のマントを羽織ることもある。サークレット、首輪、2つずつつけている腕輪はすべてフレームに純金を盛ったもの。ララゴニーと呼ばれるクスノキに似た木から作った短い弓を持ち、幼少時から自ら動物を狩ることもある。小動物のようにすばしっこく、またとても頭の回転が速い。

エス・ヘルデナドの王家に生まれた者は、クリ・パスニャ（彼らの言葉で「紫の娘」）と呼ばれる特別な魔導の力を持っている。これは男系でも女系でも、とにかく血を受け継いでいさえすればそれとともに継承される力である（ただしその大きさや扱いやすさには個人差がある）。

前王カパックが昨年32歳の若さで崩御し、一人娘だった彼女がその地位を継ぐことになった。これまでの例では、新王があまりに若い場合は前王の弟など大人が補佐することになっていた。カパックには二人の弟がおり、いずれも王位を狙っていた。つまりインティが「不慮の事故」で死ねば、彼女には子がないのだから自分が王になれるというわけである。実際、エス・ヘルデナドの歴史の中で、そうした交代劇は何度か起きていた。死んだと思われていた兄の子に殺された者もいる。彼らもインティに対して、さりげなく手伝うことを申し出た。しかしインティはそれまでの凡庸な父王の凡庸な子供とはまったく異なる存在だった。彼女の優秀な頭脳は、王国の歴史を諳んじることができるほどであり、また山々の向こうの世界にすら通じていた。それでもクリ・パスニャが一人前になるまでは…と食い下がる叔父たちに対し、彼女はそれまで人前ではまったく披露しなかった彼女のクリ・パスニャを解き放った。それは叔父たちを圧倒するほど巨大なものだった。彼らはその日のうちに手勢をまとめて山の彼方へ去った。彼女を排除できるだけの力を得るために。

幼い頃から男に対してはっきりとものを言う子供だったが、逆に同性にはやや気が弱いような態度を取ることが多い。とはいえ、同性愛者というわけではない。父がいた頃は、周囲の子供たちととくに変わったところもなく、屈託なく笑う姿が見られた。女王となってからは表だって笑うことはあまりなくなったが、時折王座から突然いなくなって街中に脱走し、方々を見て回っている。こうしたときだけ自然な笑顔が見られる。ただ、本人はそれと自覚していないが「ド」がつくほどの方向音痴であり、しょっちゅう自分がどこにいるのか判らなくなってしまう。このようなとき、彼女はある魔法の指輪で連絡を取る。その相手は山中に住んでいる魔法使いの老人である。その力は大きく、南のモクレインに住むアンデリサにはやや劣る程度。少なくともこの地方では他に大きな力の使い手がいないために恐れられ、尊敬されてもいる。道に迷って自分のところへ来た幼いインティのクリ・パスニャを整え、伸ばしたのは彼である。インティは彼のことを王家の血を引く者、つまり親戚だと思っているが、実際にはまったく別系統の魔術の使い手である。二つの魔力が干渉したことで、インティの持つ力はそれまでの王族と比べて比較にならないほど大きくなった。

彼女がなんらかの危機に陥ったとき、黄金に輝くコンドルが現れて彼女を助けると言われる。