マンスール砂漠に棲むと言われるプラチナの古龍、フェラーラは、砂漠を歩む者たちの前にその姿を現し、試練を与えることで知られる。決して人を陥れたり破滅に導いたりすることはなく、その者がそのとき必要とするものを気付かせるための試練を与える。多くは幻や夢を用い、現実の危険を与えることは極力避けようとする。
以下は、これまで知られているフェラーラから課された試練の一例である。
若き冒険家であるサラは、好奇心旺盛で冒険心に満ちあふれていた。しかし、衝動的で無鉄砲な行動が多く、計画や思考を疎かにする傾向にあった。フェラーラはサラに遠方のオアシスを見せ、そこへ通じる道においていくつか選択肢やタイミングを図る必要があることを告げた。サラに科せられたのは、幻と現実が入り混じる中で自分の直感と論理を信じる試練だった。サラは見事に試練を乗り越え、本物のオアシスにたどり着いた。彼女はこの経験を通じて、計画性を学んだ。
アルジュナは、ゼルディアン騎士団で長く戦って来た、冷静沈着な戦士だった。しかし、不注意から指揮する部隊を全滅させてしまった経験から心に深い傷を負い、すべてに対して後ろ向きであった。フェラーラの試練は、アルジュナが過去の影と向き合うためのものだった。そして、かつての光景を第三者の視点で見せ、失敗したとは言え指揮官として最善を尽くしたことを彼に納得させた。アルジュナは過去を乗り越えて心の平穏を取り戻し、再び前を向いて歩けるようになった。
メーナカは美しい詩を紡ぐ才能を持った若き詩人だった。しかし、その才とは裏腹に自信を持つことができず、悩み苦しんでいた。フェラーラはメーナカに夢を見せた。彼女は夢の中で大きな鏡と向き合った。フェラーラは彼女に、自身の心と向き合い、真の自分を見つけることを求めたのである。しかし、鏡に映る自分が発する内なる声を、メーナカは拒んだ。目を覚ました彼女に、「失敗とは、新たな道を見つけるための始まりに過ぎない。恐れず進め。」と言って飛び去った。