1,601.10.1生, 27歳(見掛け同じ). 身長172cm 体重64kg.
王子
ローザネロの子。母譲りのマルーンの髪マリンブルーの瞳、優しげな容姿を持つ人物だが、剣の腕に秀で、妹のニクスウェントとともに優秀な戦士としても知られる。とうに結婚していて良い年齢であるが、妃を取ったことはない。
ニクスウェントに剣を教えたのはクレールだが、妹の飲み込みの良さ、成長の早さには舌を巻いている。現在でもクレールの方が腕は上だが、いずれ抜かれる日が来るとも考えている。しかし、それでも彼にとってニクスウェントは守るべき大切な人であり、生涯未婚のまま彼女を守ろうと心に決めている。ニクスウェントが自分をどう思っているかは、とくに考えたことがない。ニクスウェントとは14歳離れている。クレールは第一妃の子、ニクスウェントは第二妃の子である。
彼とニクスウェントは、共に父ローザネロを見限って反乱軍に通じている。クレール自身は9年前の反乱軍の旗揚げからずっと参加している。近年でも、いくつかの局地戦においてクレールやニクスウェントがもたらした情報によって反乱軍が勝利を収めたことがある上、拠点襲撃計画を事前に通達したり、偽の反乱軍の情報を流したりすることで、父の軍に空の拠点を攻撃させたりもしている。
1,585.9.23生, 44歳(見掛け同じ). 身長157cm 体重121kg.
反乱軍の将軍
薄鼠色の短髪と太い眉、浅黒いつやのない肌で人相は悪い。口髭、顎髭とも短い。瞳は浅緑色。非常に横幅が広く愚鈍な印象を与えるが、筋肉質で身体も柔らかく、動きはそれほど悪くない。表向きは内気で消極的な性格ながら、優秀な頭脳と決断力を持ち、「やるときはやる」タイプ。正規軍に参加していた頃は、軍団長レウキの信頼を得て副将を命じられていた。ただし武器の扱いに長けているわけではなく、人を動かすタイプである。女性が苦手で、妙齢の美女がいると顔中真っ赤になってしまう。それが作戦に影響を与えることはないが。王女ニクスウェントのことも、これにより直接対するのは苦手としている。酒にも弱く、一口含むだけで同じように真っ赤になる。
現在の反乱軍は、総力でも私兵団2,000、傭兵600程度であり、正規軍だけでも12,000になる国軍と比べるべくもない。彼らが抵抗勢力たり得ているのは、トリカッセスをはじめとした優秀な頭脳、側近ペコラリウス、王子クレール、王女ニクスウェントの三人の強力なサポートがあってこそである。反乱軍の本拠地はサッタ山付近にあるが、様々な手段を用いて北はヴェネティ、東はテルメド、南はナスライというように王国の東半分を移動し続けており、正規軍を翻弄している。トリカッセスは、ロッダールに駐屯するマントゥアス、チェファルに駐屯するエスケティオとは正規軍時代にはまず友人と言って良い間柄であった。彼らとは9年前に反乱軍に身を投じる決断をした際、袂を分かった。なお、トリカッセスは正規軍をあまり危険視してはいない。正規軍は国軍である性格上、どうしても行動や決断が遅くなったり、制限が加えられたりする。注意すべきはやはり傭兵部隊である。なかでも外国人であるランス・スピールの部隊は、雇用された当初からその動きを注視しており、これまでずっと戦闘を避けている。
トリカッセス自身は、この反乱が成功した暁にはクレールに即位してもらいたいと考えている。こうした望みを持つ者は反乱軍の中では多数派ではないものの、決してトリカッセスだけということはない。ただし、クレール自身がそれを望んでいないことも良く判っている。
トリカッセスはサコリア近くで拾われた捨て子である。本当の両親は知られておらず、トリカッセス自身も知らない。これはイモータルである白のラ・リューンが、自身の計画の駒として配置したものである。白のラ・リューン自身、元はアスティニアの妖精王だった。なお、白のラ・リューンは1,629年に復活しかけたオルクマルドによって消滅させられている。
1,615.4.1生, 14歳(見掛け同じ). 身長151cm 体重42kg.
王女
ローザネロの娘。母は第二妃でクレール王子とは異母兄弟。レーウェ・ニクスとも。セミロングの黒髪を持つ美少女で、宮廷ではドレスで着飾った姿をして微笑む姿が見受けられる。ダークグリーンのよく輝く瞳も知られている。
しかし、それは仮の姿である。真実の彼女は体術に優れる国内でも指折りの剣士であり、兜を被って正体を隠し戦に参加することが多い。起伏の少ない身体付きのため、大抵はただの少年剣士と思われている。真の性格はやや激しく、女々しい性格の者を嫌っている。ただし父のように残忍なわけではなく、泣き言を言う者の横っ面を叩き、発破をかけ立ち上がらせたりする面倒見の良い性格をしている。またこれも父と異なり、悪事に手を染めたりはしていない。
兄クレールとともに父を見限っており、国内の反乱軍に通じている。彼女の反乱軍参加は4年前である。戦場では反乱軍の被害が大きくならないように振る舞ったり、あるいは鎧を変えて反乱軍に参加したりすることもある。
ダガーや石ころ、小枝、ボール等々の小物の扱いにとくに長じており、あたかも身体に吸い付いているように操ることができる。
口には出さないものの、誠実な兄のことを心底から愛しており、他の男性への興味はない。ただ、兄とのつながりは精神的なものに限るべきだと考えている。
1,574.3.23生, 55歳(見掛け同じ). 身長165cm 体重63kg.
ローザネロの側近
現王ローザネロの父で前王のオクタヴィスの頃から30年、国家に仕える重鎮。オクタヴィスが東岸の街ロッダールで見いだした秀才。どんな場面でも表情を崩すことがなく寡黙で、その真意は国王にすらうかがい知れない。国の維持を第一の使命と考えており、それ以外にはほとんど欲らしいものを見せない。時には国王に公然と反論することもあった。しかし、ローザネロが即位して9年、この中年の人物はそのように振る舞うことが極端に減り、「さしものあの男も、命が惜しいと見える」という言葉も聞こえるようになっている。
現在、彼はすでにローザネロを見限り、元大貴族で反乱軍の首謀者の一人であるリュコスと謀ってローザネロを排除する計画の元動いている。側近である自分が裏切っていると知ればローザネロにより粛清されることは明らかであるため、「これが最後の奉公」と考えている。その慎重で綻びの見えない行動は、同じく宮廷にいながら反乱軍と通じているクレール王子とニクスウェント王女すらも欺いている。逆にペコラリウスは、二人が自分と同じ考えで動いているのを知っており、彼らの行動が露見する可能性を感じた場合はその危険を摘み取ることさえしている。二人はペコラリウスのこうした行動にまったく気づいていない。
まったくの文官であり、戦闘術は身につけようと考えたこともない。妻がいたこともあるが、18年前に死別して以降独り身である。子供はない。痩せぎすで、かつてはしっかりしていた腰が近年曲がり始めている。カーキ色だった短い髪や顎髭はつやを失っているものの、手入れだけは欠かさない。紫の瞳だけが、若い頃から変わっていない。
1,615.3.11生, 14歳(見掛け同じ). 身長163cm 体重66kg.
元貴族の子弟、ニクスウェントの幼なじみ
黒い短髪と黒い瞳の、照れ屋の少年。バルザーリの北東、リキティウス河河口の街ガイウスの出身。両親は元貴族であるが、ローザネロによって貴族階級が廃止されているため平民である。ニクスウェントとは4歳頃からの友人同士。ニクスウェントが武器の扱いに慣れていることを知っている数少ないうちの一人。
幼い頃からずっとニクスウェントに恋心を抱いており、認められたい一身で剣や槍の訓練に励んでいる。肉体的には良く鍛えられており、体力や持久力はある。継続は力で、才能にはさほど恵まれていないにもかかわらず、それを努力で補っている。ニクスウェントからすれば手加減が必要な実力ではあるが、来年の成人で国軍に入隊することも希望している。順調にいけば将軍の一人になる可能性はある。
ニクスウェントにとって彼は信頼のおける友人以上のものではない。その純粋さとひたむきな努力には好意を持っているし、敬意を抱いてもいるが、恋愛感情を抱いたことはない。
画：hashiya様
1,576.11.22生, 53歳(見掛け同じ). 身長169cm 体重89kg.
国王
人相は悪く怒り肩の筋肉質の男。黒髪に黒い瞳。1,620年から在位する。粗野な性格で、機嫌を損ねる言動や行動をした者は躊躇なく殺すことで知られる。強靭な肉体に鋼鉄製の鎧をつけ、頻繁に怒声を発し、恐怖で民を支配する。前王だった父オクタヴィスを手にかけたとも言われている。二人いた弟、同じく二人いた女王、それに次男はいずれも粛清されている。建国以来保っていたコリントとのホットライン（これはいずれの国においても、少なくともモータルの間ではその由来が知られていない）を自ら破壊した。自分の利益になりそうなことならあくどいことでも躊躇なく手を出す。
しかし、素の性格は非常に臆病であり、常に暗殺への恐怖に怯えている。周囲に誰もいない時など、キョロキョロと周りを見回したりするなど挙動不審な点も見られる。女王は公式には「弑逆を試みた」ため粛清されたと言われているが、実際には寝室で王が夜の闇に怯える姿を見てしまったからである。剣の腕もさほどではなく、12年前に偶然入手した無敵の魔法剣がなければ身を守ることはできない。彼の持つ剣は二本一組であり、フルオートで敵を攻撃し続ける攻防一体の魔法兵器である。この魔法兵器は、何らかの方法で「イモータルの破砕日」の影響を免れ、現在でも機能している。
ローザネロは国王に選出された祖父ルキピウスから数えて三代目である。国王は一代限りの称号となっているが、絶対権力を持つ国王には貴族たちも賛同しやすく、父オクタヴィスとともにほとんど対抗馬のない状態で選出された。ただし、ローザネロを推挙した貴族たちは即座に冷や水を浴びせられた。ローザネロは即位後1週間で貴族を廃止することを宣言、自分とその子孫だけが王位に就けるとする王令を発した。王には絶対権が与えられているため、この王令は有効であり、ただちに貴族は廃止された。
そしてその半年後、かつての貴族が中心となって反乱を起こした。ローザネロ自らが後継者指名したクレール王子は、反乱軍の旗揚げのときから彼らに協力している。そして兄の後を追うように、10歳になったニクスウェント王女も本格的に反乱軍に加わった。その間には、側近のペコラリウスが反乱軍と通じるようになっている。彼ら三人が裏切っていることを、ローザネロは一切感づいていない。
なお、フレンダーノはコリントと異なり、建国時の家系はすべて失われている。降嫁したりしているため降臨したフレンダーノの血が完全に消え失せたわけではないが、少なくともまったく表には現れないほどに薄れている。王家はここ1,000年有力貴族内からの選出であるが、すべての貴族は建国時の家系とは直接関係しない。記憶や技術の継承が途絶えている点はコリント以上である。かつての宇宙艦隊は現在も地底や海底に格納されているが、現在ではその場所も、開封方法も失われている。