概要

裏エルヴァート、ズィドラス大陸東岸に位置する国家。かつてコリントに継いで宇宙から飛来した者たちの子孫である。ただし、確かにそのときの血は残っているが、コリントの王家・公爵家が降臨者に入っていた貴族の男系子孫である（少なくとも公式には）のに対し、こちらは当時の男系はすべて絶えており、また後述のように多くの王朝交代劇を経てもいる（コリントは皇帝時代は直系、将軍家の時代は王朝交代だが将軍家内での持ち回りであり、現在の貴族時代も公爵家内での持ち回りである）。そして何より、コリントと異なり当時の記録や記憶は完全に失われている。首都バルザーリは、降臨後の建設の際に彼らの母星の名を取って付けられた街であるが、その記憶は失われて久しい。四代前の王までは、バルザーリの名すら喪われていた。

当時の宇宙戦艦はいずれも王国西部のモスイト湾を始め、いくつかの湾内あるいは地下に格納されている。半永久的な動力源を搭載しているため、現在でも稼働可能である。しかしそれを記憶している者はおらず、操縦法も失われている（かつてこの国からイモータルとなったロリスやカロンは別として）。

現在の支配者は世襲ではなく有力貴族から選出した王によるものであり、コリントとは異なっている。ただし現国王の王子は自動的に有力な貴族であるため、世襲になることも多い。現王ローザネロにしても、祖父ルキピウス、父オクタヴィスに続く三代目である。

1,620年に即位したローザネロは、貴族を一律に廃止しと自分自分の子孫による一系支配を主張した。国王には絶対権が付与されるため、その宣言自体は有効となった。過去に同様の主張をした王は自身あるいは数代後に軍を中心とした反乱勢力によって排除され、旧に復されているため、ローザネロはまず軍の支配権を握ることにした。目論見通りに進んだとローザネロは考えている。しかし、この計画は既に足元から揺らいでいる。貴族制廃止から時を置かずかつての貴族を中心として勃発した反乱は、現在でも反乱軍が各地で蠢動しているが、王子クレール、王女ニクスウェントが揃って父親に反し、彼らと手を握っているのである。とくに王子は、反乱の発生から彼らに味方している。王子王女は自身の生命財産の保障だけを条件としており、王族の地位のみならず王位選出の前提となる貴族階級も放棄するとしている。実際二人からもたらされる情報が正確であるため、貴族たちも徐々に二人を信用するようになっている。

古代フレンダーノの遺跡は、ズィドラス（彼らの言葉ではフィンディル）大陸を中心に各地に存在する。ただし多くは山の中にあったり、数千年のうちに深い森に閉ざされていたりするため、知られているものはごく僅かである。

最近まで存在したコリントとのホットラインも、遡っても500年程度だと考えており、コリントの主張する「5,000年」は真面目に受け取られていない^※。

1,587年、ケレストゥス王の死去に伴い、ケレストゥスの息子レオを差し置いて、ルキピウスが国王に選出された。これはケレストゥスの弱腰がタエ・クッタ・モーレイ公爵の離反を招き、南部に王国として独立したことが大きな理由であるが、レオはこれに納得せずルキピウスを恨んだ。レオは2年後にルキピウスの暗殺を企み、失敗した。彼とその一族はことごとく捕えられ、刑死した。ただ、レオの弟の一人がその包囲網をかいくぐって国外に脱出した（正確には替え玉）。彼の子孫が、1,620年代になって本国へ舞い戻り、反乱軍の一員として行動している。