国家宗教としてアナーティア教または暗黒教（Religion of the darkness）を設定する。教義は基本的に四柱を規定し、最高神はアナーティアだが、全混沌神は等しく崇拝対象とされる。そのためアナーティアの上位神としてのオルクマルドの存在も認識されている。教義の神たちへの信仰を前提として、その他の暗黒神への信仰も許可されており、ゴーリンやビッボォルゥ、ケイズを信仰する者もいる。
ただし、国教自体が形骸化しているため、表向き禁止されている法や中立の神々への信仰も長い間取り締まられておらず、諸外国との人の行き来が増えたことも手伝って当然のごとく存在している。近年はとくにジョルツの信者が増えている。無宗教の国民も多い。総じてケイオティックな国民性だが、自分の欲望を満たしたいがために暗黒神崇拝を取っている程度で、邪悪なものではない。
アルファティウスの皇子フリット・ラウディスは同じ混沌神崇拝の国家であることから亡命先にこの国を選んだが、その緩い押さえつけには驚き呆れ、憤慨することになった。教会には多くの信者が寄せているが、一体感も従属性も故郷と比較すべくもなかった。
そんな彼が、唯一安堵を覚えたのはアルカディルの街で一部の狂信者が詰める教会である。この教会では、10歳に満たない少女を国内外で拉致して神官や信者が集団で暴行（これは聖なるアルカディルとの接合を意味するとも言う）、その後神への供物として首と心臓、そして性器を切断して祭壇に捧げる儀式が行われている。同時に殺害する少女の数が信仰心の篤さと解釈され、アルカディルからより多くの加護があると信じられている。
彼が安堵を覚えた理由は、混沌戦争前に故郷アルファティウスで行われていた類似の儀式に、父の言いつけで参加したことを思い出したからでもある。彼も父もおそらく祖父も、そこが初めての経験だったろうと考えている。ただしアルファティウスではアルカディルへの信仰がなかったため、対象は10代後半から30代というところで、ラウディスが加わった時も犠牲者はすべて10代後半から20代だった。
この儀式は同じくアルカディル信者が存在するコルコランドではすでに消滅した古代のものであり、1,630年現在では同胞のアルカディル信者からも異端とされる。人間のような感情がないと言われるアルカディルに対して少女の遺体を供しても関心が得られるとは考えづらく、単に古代の神官が自らの欲望を満たすために作った儀式だという説を受け入れたからである。これにより、現在のほとんどの信者は暗黒の少女に個々人が陶酔するだけとなっている。実際その説の通りであり、アルカディル神がこの儀式に関心を持ったことは一度もない。
ラウディスは王宮への出入りを許され、客人として遇されつつも肝心なことには適当にあしらわれている。彼は求める助力が得られないことに憤っており、ここで神官や信者に交じることで憂さを晴らすようになっている。
アルカディルは気まぐれ以外で人間に力を与えることがなく、実際に神官の力を持つものは僅かである。この教会ににいる神官もすべて一般人であり、ラウディスが（もはや存在しない）シルヴァーへの信仰を捨ててアルカディルに帰依したとしても、まず何も変わらない。
以下は主な信仰。程度はともかく、多くの混沌神への崇拝が存在する。