首都スレイマの北東の街カーティアの郊外に作られた、魔術師団スレイミールが管轄する動物園のようなもの。1,431年にいったん完成し、その後拡張と改良を続けている。広さは100ha（1km四方）ほどになり、地形も豊か。8つの気候帯で分類されている。大半の区画はスレイミールの研究施設内となっており、一般公開されているのは全体の1/8程度。それでも十分な広さである。周囲を頑丈な塀で囲い、さらに魔術で強度を高めている。園内では種類ごとに個々の檻が用意され、その檻も物理魔術の両方によって作られている。
世界中（無論、王国が認識している表エルヴァートのみ）の魔獣400種ほどを集めており、最大はラージグリーンドラゴン。グリーンドラゴンの割には知性が高く、怒らせない限りは人間に協力的である。ドラゴンはその生態も考慮して非解放区はただのねぐらであり、王国内を自由に飛行できる契約としている。猿の魔獣のように人に近い種もそれなりにいる。それぞれの生態とともに魔術的な見地でも研究している。いわゆるヒューマノイド類は対象外。魔法の絡んでいない怪物や稀少な動物の類も、数は少ないが生息している。うち数種は魔獣の餌としても利用される。
「イモータルの破砕日」では塀や檻の魔術が消し飛んだため、数頭の魔獣が脱走して処分されたり、自身を構成する魔術の破壊によって即座に消滅したりしたが、大半の魔獣はそのまま居座っていた。これには先のドラゴンが他の魔獣を威圧していたことにもよる。気候区を維持するための魔術も破壊されたことで、気温の変化に耐えきれずに死んだ魔獣もいる。カーティアを含め近隣住民への被害はなかった。