オージャス大陸中央を左右に隔てる大国。東はアマリス帝国と境を接し、西にはインシュヴィの地を隔ててアルセン王国がある。北はデュール内海に面し、南はネアー海に面する。ネアー海という名称自体が、かつてのライトネア側での名称が定着したものである。首都はディルゴ。現在の国王（連王と称する）はシラカン8世。4王国の領土は、対外戦争によって全体の領土が拡張されるたびに移動している。かつてはアルセン王国もその支配下に治めていた。東のファームズ帝国、および現在アマリス帝国となっているかつてのヘレネス王国とは、歴史的に三つ巴の戦いを繰り広げてきた。また近年にはネアー海の制海権を巡って南方ホーメルトを制したフェルナンド帝国とも緊張が高まっている。
ライトネア、ライトマイ、ライトクルそしてライトハイの四つの王国からなる連合国家であり、それぞれの王国に国王がいる。ライトネアは連王シラカン8世、ライトマイはクレタミソス3世、ライトクルはバシレウス6世、ライトハイはアレウス4世が治める。同様に個別の首都もあり、ライトネアはディルゴ、ライトマイはヘディウス、ライトクルはヴァリアグ、ライトハイはアルジェロである。さらに貴族も連合王国のそれではなく、各王国である。最後に滅ぼしたのは1,609年のミストル王国である。旧ミストルの地は、現在ライトマイ王国の領土になっている。
連合全体において、魔術的素養が非常に重視される。この国では魔法を使えぬ者はそれだけで重要な人物だとみなされず、社会的に差別されることも多い。王家、貴族、そして下級民（一般庶民）においても同様である。むろん下級民で魔法が使える者は多くないため、「優遇される」と言ったほうが妥当であるが、魔法の使えない貴族よりも魔法の使える下級民の方が扱いが良くなることもしばしば起こっている。また代々魔術師を輩出した下級民の家が上級民の仲間入りをすることもある。
各国の首都には魔法学校と呼ばれる建物があり、魔術の開花が見られた王族や貴族の子弟（つまりほとんど）は基本的にこれらの学校で魔術の体系を学ぶことになる。下級民でも志のある（そして入学費用を賄える）者は受け入れられている。年齢の制限はとくになく、早いと5歳程度で入学する。大抵は10年程度通い続けるものの、過去には5年で卒業した例もある。現在の連王シラカン8世は10年通った平均的な生徒だった。魔法学校では建前として教師が上の立場となっている。とはいえ、現実には有力貴族や王族相手にあまり強く出られない者も多い。
軍の将軍はいずれも各国の貴族である。他国のような男爵、伯爵といった位は存在しないものの、権勢により家格はある。同様に広大な領土を与えられることもなく、基本的には国政や出身の街で一定の権益を与えられる程度である。
この国の支配階層および上位の貴族の大半は、かつてエルヴァートを訪れた外方界出身の者たちの子孫である。その移住はB.C.225年に遡る。マルボリッチというその外方界の、ライトールという名の星からやって来た。自分たちをライトール族と呼び、一般にも広まっている。ただし、彼ら自身に、このような記録は残っていない。一部の空想好きを除けば、単に今いる星のどこかの僻地に最初からいたと認識している。
元々は、一般に「ディアボラス」と呼ばれる存在であった。数は少なく、生き残るために現地の者たちと交わることになった。通常、ここまで外見の異なる種族同士の交配は上手くいかないものだが、先祖から信仰する神レミールの助けによってそれを為し得た、と彼らは考えている（実際そのとおりである）。長年に渡る交配の結果、外見的特徴はほぼ失われており、赤みを帯びた肌以外は見た目は通常の人間と変わらない。現在では「かつては異なる姿をしていた」という伝承が残るのみである。稀に脚がロバのようになったり、尾があったりする者が現れ、先祖返りと考えられている。寿命は500歳程度で、これは比較的保存されている形質である。ただし、交配の影響により、ライトハイのアレウスのように、系統によっては200歳程度にまで縮まっていることもある。
純粋なライトール族は姓を持たない。
彼らが故郷を離れ、魔導門を通って主物質界へやってきた理由は、レミールの意志（計画の一部）である。ライトール族の者たちも、彼らがかつて異なる姿をしており、今は他の者たちと変わらない姿になっていることについては、そのように解釈している。
連合王国が成立したのはシラカン1世の時代、AC150年である。その後シラカン4世の御世に4王国に再編、ライトネア王国を除く3王国の国王に自身の弟を据えた。歳の順にライトクルのムビリトス1世、ライトマイのリムレス1世、ライトハイのテセウス1世である。しかしその後の歴史において、ライトネア以外の3王国については有力貴族による王位簒奪があり、血縁はなくなっている（遠い祖先に姻戚関係がある可能性はあるが）。ライトネア本体にしても、いつそのような王家交代が起こるかは分からない。血縁意識は低く、王家が変わってもライトネア本体はとくにそれによって懲罰軍を差し向けたりはしていない。
その後の研究により、彼らの神レミールがエルヴァートでゼルディアンと言われる存在と同一であるとの説が優勢になっている。