恐怖地帯と呼ばれる地帯は、クリンドール（クルート連邦）の北、ペトラフ（ミラード）の東に位置する。この地帯には、最大級の恐るべきモンスターがひしめいている。たとえば、レッドドラゴンの古龍やハルカー、ガルガンチュアトロールなどである。また個々の能力は低くとも、数で圧倒するようなモンスターも多い。珍しい蟻人間（ミュルミドーン）の巣もいくつか確認されている。
方向感覚を失わせる地帯や、魔力に干渉して正常な魔力行使ができない地帯、精神を苛んで幻覚を見せる地帯、有毒の瘴気で屈強な冒険家を一瞬で絶命させる地帯などがそこここにある。定点ではなく、こうした地帯が無作為に移動していることさえある。そこここに、過去の愚かな冒険家が落とした物品が、持ち主の遺骸とともにそのまま散乱している。西はコリダス湖、南はソダル森の境を西や南の境界線に考える者が多いが、北と東に地帯に明確な境界線はない。
数年前、クルート連邦のクリアナ（総評議長ハンス・ミュラー・ヘンドリクスの妹）が、何人かの勇敢な冒険家を連れてこの地帯のはずれの森に入った。彼女らはその高い戦闘力によって多くのモンスターを倒したものの、冒険は失敗し、今に至るまで森あるいは北側の丘陵地帯をさ迷い続けている。
クリアナは26才になる卓越した魔術師である。
彼女は、ウィザードリィスタッフ（24チャージ）、プロテクションリング、スペルターニングリング（2チャージ）、リジェネレーションリング、ディナープレートなどの魔法の物品を数多く持っている。
従者達は、コーディス（エンクヴェイの聖騎士）、ラサリアン（サンターナの僧侶）、オルグレオス（戦士）、ティンダラス（盗賊）、そしてベイニング（魔術師）である。クリアナを含めて絶対的な実力者集団であり、なんとか全員が生き延びているものの、心が折れそうになることもある。