概要

永世王国は、スメル帝国西方、スルタン洋に浮かぶ島国である。大小11の島々からなる。すべての島はテレポータで接続されているため往来に不便はない。これらのテレポータはメロスによるものであり、モータルの力で破壊することはできない。中央にあるラティファ島にある街が「ランカスト」（「天」を意味する）であり、王宮もここにある。それぞれの島にある町並みをすべて合わせた集合体をランカスト・フォレンディスと呼び、「天に近き処」の意味になる。

表向きの支配者は、時の宰相および騎士団26人衆のリーダーとなっている。1,630年現在はそれぞれサヨコ・サララ・イデナリ（出成沙夜子讃良）およびエール・ブラーンシュ。

真の支配者は建国者であるイモータル・メロスであり、国内的には国王となっている。基本的には定命写像である。メロスは常に主物質界にいるわけではなく、通常は自身の本界で何かを計画中または実行中であり、その程度や王国の状態によって定命写像を置くかどうかを決めている。

宰相は、現在の宰相や26人衆がその持てる能力その他を見いだし、ランカストへ招いた後にメロスが任じる。常に術者ではない一般人（戦士を含む）が選ばれる。選出から退職に至るまで通常の時間から隔絶され、肉体的には歳を取らない。その両手の甲には、メロスの代理人であることを示す紋章が魔法的に転写される。任期は不定期。現在の宰相であるサヨコは53歳だが、前述のように抜擢された年から姿は変化していない。彼女の場合13歳の姿を保っている。宰相は職権で5人までの補佐を抜擢することができる。補佐になることにはとくに資格・制限はないが、宰相のように年齢を止められることはない。現在はサヨコが国内外の庶務すべてを一人で担っており、補佐はいない。

また、これとは別にメロスによって配された半神（タイタンに近い）が二人いる。彼らは寿命がなく、初等のイモータル魔法をメロスの代理として行使できるものの、モータルであり、イモータルのような完全な不死の存在ではない。寿命はないが切られれば傷つき、血を流す。普段は宰相や26人衆を手助けし、イモータル級の魔法が必要な際は手を貸すことになっている。

国教はメルヴィン教。主神であり国王でもあるメロスと、副神マグロニエルを奉じる。ランカストにはマグロニエル教会がある。26人衆とは別にマグロニエル騎士団が存在し、およそ80名の屈強な剣士が集う。現在の団長は元26人衆のマリー・ルーン。永世王国には、他国のような集団戦に特化したいわゆる軍隊はなく、これら2つの騎士団のみ存在する。

永世王国の誇る世界最強の軍が26人衆である。前述のように現在のリーダーはエール。シヴィルスクアルフ、ブラーンシュ氏族長ダムの弟。特殊な訓練により戦士の力と攻撃魔法とをいずれも極めている。シヴィルスクアルフとしては極めて珍しい社交的な人物で、故郷の長老たちからの評価は必ずしも芳しくはないが、彼の戦闘能力がアルフの標準から完全に逸脱した高さであることは認めざるを得ず、また彼を忌避したりしてダムの機嫌を損ねることも恐れている。ダムは唯一の肉親となった弟に半ば恋人のように接し、甘えることがある。エールはそんな姉に柔順であり、イモータルとなるまで、そしてその後も彼女を守り続けることを誓っている。二人ともに未婚だがそれ以上の関係はない。