貴族

領地は公爵、侯爵のみ街とその周辺を保持する。伯爵以下は街のうち一部を保持する。男爵では一区画のみであることも多い。

空欄の箇所、これ以外の貴族は現時点では設定がない（子爵、男爵のみほかにも存在する、ただし広大な領地は持たない）。

ダンクノック公爵家

現在のコリント王国建国時から存続している二家のうちの一家。帝国時代はダルクノールといった。現在の国王ハレスガードは、1,614年まで公爵であった。1,607年、17歳で前王リスク・イェルトの輔弼に抜擢された。当時としては異例の若さだった。ハレスガードは貴族らがそれと気づかぬ間に資産を吸い上げる策を上奏し、認められた。

リスクの長女で王妃だったラリエは、エリシエル出産の体調失調からついに回復せず、エリシエルが1歳になるやならずでこの世を去った。ラリエの妹、第二王女シェラリーフとの婚儀の談も持ち上がったが、ハレスガードはこれに同意せず、以来一人身を通している（エリシエル養育のために、乳母は複数人いるが）。

なお、エリシエルは当初イェルト家の誰かに嫁ぐのが自然な流れだと考えられていたが、周囲の予想に反してフェルナンド帝国皇太子のアンドリューと恋に落ちてしまった。国内でこれに気づいている者は現時点ではハレスガードと守護戦士のカリミアしかいない。

ダンクノック王家は二十三代〜二十七代、三十、三十一代、そして三十七代ハレスガード。領地は島西岸のダンクノック。

イェルト公爵家

建国時から存続しているもう一家。帝国時代はイェールティアといった。ハレスガードの前までの五代はイェルトの王家だった。

イェルト公爵マジュロには男子が3人おり、彼らもまた男子を設けている。周囲はこのうち長男アンジェロの長男ランジェス（または次男ケジェロ）が次の王となり、エリシエルが嫁ぐことで王家が存続すると考えており、エリシエルと特段不仲でもないランジェスも内心ではそう考えている。しかし、エリシエルはフェルナンド帝国の皇太子アンドリューと愛し合うようになっており、ランジェスに嫁ぐ気は一切ない。ハレスガードも娘の意思を尊重する考えである。いずれにせよ、王家はハレスガード一代限りでイェルトに戻ると考えられる。

マジュロの妃であるフランディス伯爵家のラファエラは、現在の当主サルヴァトーレから見て祖父の妹になる。

イェルト王家は二十代〜二十二代、二十八代、二十九代、三十二〜三十六代（先王リスク）。二十代サリガーは賢王としても知られ、ダンクノック公爵エルヴァスの妹レティシアを妃とした。建国当初からの家がイェルト・ダンクノック両家のみとなったのがこのときであり、様々な約定がなされ、現在の王国の形がほぼできあがった。領地は島南東のイェルト。

グラスター侯爵家

公爵家を除けば、一番の隆盛を誇る。貴族に列せられたのはおよそ350年前であるが、祖先は降臨時代に遡ると言われ、守護神クッキーはエルヴァートの他の地域では知られていない。当主ミルファスは先王リスク・イェルトの第二王女シェラリーフを妃とする。

王女守護戦士のヒアナやその友人マリエットほどの実力を有する者が生まれることは少ないものの、代々魔術を得意とする者が多く現れる。こうした者たちは王宮付き魔術師となったり、国軍における魔術小隊に加わったりしている。ミルファス自身、そこそこの力を持った魔術師でもある。この特性は、いまや公爵家ですら失ってしまった古代の資質（降臨者の一人だった祖先の血）の現れ、すなわち先祖返りであるが、現在それを認識している者はいない。

領地は首都南東のグラステリオン。

ハイフォール侯爵家

初代ナッシュが貴族に列せられたのはおよそ400年前で、第18代フィラル・サティス王の御世に遡る。現在の貴族の中では、ダンクノック・イェルト両公爵家を除いて最古の家柄。代々医学薬学に精通しており、神聖術に頼らない治療法を確立している。マッスルの父ラーゼスは存命であり、一線を退いているがまだ影響力を有している。太い眉毛と鋭い眼光で、両公爵家からも一目置かれた。

ティカは性格的にはかなりそそっかしく、基本的には一人で何もできない（できるのだが、いろいろズレている）。人の話を聞かずに突っ走ってしまう。また群を抜いた音痴で音感がない。ただ、ラーゼスは7人の孫のうちティカのことを一番気に入っている。

第一艦隊司令官のサリトルはマッスルの従兄弟。領地は島東岸のハイフォール。ハイフォールの街はほぼ全体が侯爵家のものである。

ドレスコート伯爵家

比較的古い家柄。現在の当主ジェレミーは次男であり本来は当主となることはなかったが、兄のヨード・ライガーが大陸のキュート国へ移住してしまったために、家を継ぐことになった。移住した理由は、ハレスガードの登極に不満があったためである。ヨードは巧妙な資産没収がハレスガードによるものだと気づいており、そのハレスガードが次期王となることを強く懸念した。

領地は南東アスカー島のワイザ。

ファルティアン伯爵家

ファルティアンは現在の領地フラクタンスの古名である。初代マニュエルはフラクタンスの豪商で、王国へ宝物を献上したり、王家の食卓を預かったりして信頼を得、1,334年に貴族に列せられた。当時はサリガーから続くイェルト王家だった。鳥の羽根をモチーフとした家紋を使っている。現在守護戦士リーダーを務めているティシアラの鎧には、腰前付近に家紋をあしらった部品が付着してあり、彼女が自身の家を誇りに思っていることが伺える。

ラムサダス帝国雷光魔術団の一員、ラクナティスはハーネアスに移住したティシアラの曽祖父の弟ミハイエルの孫であり、ティシアラやイェステルから見ると7親等になる。同じ家名を継ぐ一族ではあるがほぼ他人である。ラクナティスの両親は既に死亡しており（※なお、詳細はホーランス家を参照）、一人息子のラクナティスがスメルへ移住した時点でハーネアスの分家は消滅した。

フランディス伯爵家

当主サルヴァトーレは王女守護戦士の最年長ティシアラ・ファルティアンを妃とする。ただし守護戦士引退まで跡継ぎを設けないこととしている。

サルヴァトーレの祖父の妹ラファエラはイェルト公爵家の当主マジュロの妃である。父リナルドは1,626年に隠居したのみで存命。サルヴァトーレの従姉にあたるルドヴィカはハイフォール侯爵家に嫁ぎ、現当主マッスルの妃となっている。なお、ルドヴィカの父はリナルドの弟であるが、先に生まれたのはルドヴィカである。

メイスター伯爵家

領地はシェーラインの南側。メイスターは代々飛竜を飼育し、調教している。空中戦艦や戦闘機を所持する国家において、本来なら飛竜の出る幕はない。しかしこうした戦力を支える技術はとうに失われている他、動力源となる鉱石もこの星では採取できない。このため現状維持のためにこれらの戦力は年々使われなくなっている。飛竜はスモールからミディアムで、ラージは極めて稀。過去にはヒュージに跨がって戦う当主もいた。現当主リーザスは飛竜で戦いこそしないものの、飛行だけなら問題なくこなす。戦士として地上軍を率いて戦うこともある。貴族に列せられたのはおよそ300年前であるが、先祖は降臨時代に遡るとされ、守護神エヴィアン・ダイナーはエルヴァートの他の地域では知られていない。

シェーラインに注ぐ河の上流でフォーブラックが自ら開いた土地に気候変換魔術を用いたことで、シェーラインには年中清水が流れ来るようになった。これでフォーブラックに対して恩義を感じたローブが、フォーブラック家当主のケンにかけあい、リーザスとミズキ・フォーブラックとの婚約を決めた。

父のローブは存命だが、2年前の作戦で行方不明となったことで爵位がリーザスに継承され、その後奇跡的に帰還するも重傷であらゆる活動に支障を来すため公の舞台からすべて引退している。

二代前にクレオがドレスコート伯爵家長男ヨード・ライガーに嫁いでおり、現在南のノズミー共和国大統領となっているキャミー・ドレスコートを産んだ。リスク・イェルト王が娘をハレスガードに与えるのを良しとしなかったヨードが家族を連れて移住したのはリーザスが3歳、キャミーが10歳のときである。元々それほど行き来があったわけでもないため、リーザスはうっすらとしかドレスコート家の面々を覚えていない。

1,326年に貴族に列せられたボーモントを始祖とする。その乗機だったゴールドドラゴン・ラスカイアは、1,329年にイモータリティを得ている。

ルエンカシフォン伯爵家

コリントではもっとも新しい貴族の家。領地となる特定の街はなく、フラクタンスの一角に居を構える。当主ロベルトは1,620年に大陸のコルコランド地方から亡命した。急伸したラムサダス帝国により、旧貴族の権益・財産が徐々に絞られていったためである。本来の姓は父方のものであるマガラスとなるが、当時のルエンカシフォン家当主から許可を得てルエンカシフォンで通している。

ロベルトが、貴族を絶対視して誇大妄想にひたる人物であることは国王ハレスガードもその周辺も認識している。ロベルトはルエンカシフォンと同じ侯爵を望んだが、ハレスガードにしてみれば彼はマガラス伯であり、それ以上のものを認めなかった。この伯爵号もまた可能な限り名ばかりになるようにしてあり、領地がないのもそのためである。

チェザーレ子爵家

1世紀以上の歴史を持つが、3代前の当主ジローラモの事業の失敗で権勢を保てないでいる。現当主ベリーニの父コルッチョは、財力でのし上がったフィラー家のバレットに娘のロネツィアを売り込んだ。ロネツィアはそのためベリーニのことをまったく愛しておらず、笑顔を見せることすらない。ただしジュリアスを含め三人の子供のことは溺愛している。

フォーブラック子爵家

守護戦士のひとりミズキの家で、元は馬具笊地方綺屋都の街の名家黒羽凰家。現在でも本家は存続している。ミズキは父と同様コリント生まれであり、綺屋都のことは伝え聞いている以上には知らない。ただしレンが馬具笊貴族という誇りをもった人物であったため、ミズキも他の3人の姉妹も、貴族の姫として育てられた。守護戦士としては洋装だが、家にいる間は和服を着ている。コリント内で瓦葺き屋根の家に住み、和服を着るのはフォーブラック家のみである。

ミズキはリーザス・メイスター伯爵と婚約している。ミズキの母ベアトリーチェは、デルスター男爵家の現当主ミリバンドの娘である。また姉アサミは昨年ノックウッド家の現当主ライサンダーと結婚している。

ノートリス男爵家

ノートリスの現当主はアディアンの父ペイリンだが、1,630年にアディアンが継承する見込み。アディアンは変わり者だが智者として名声があり、ハレスガード王の輔弼も務めている。

代々国家に仕えながらも、過去数世代暗殺者を雇って政敵を排除したりした過去を持つ。このことは噂レベルでは広まっているが、証拠を掴んだ者は誰もいない。それは、国王もまたその力を借りたことがあるからである。ただしアディアンの代になってからは、一度も彼らに仕事を依頼したことはない。

領地はアルハンゲル。

フィラー男爵家

比較的新しい貴族。美男で知られるジュリアスは昨年末に男爵となったばかり。バレットの妃ロネツィアは、チェザーレ家当主ベリーニの妹。ジュリアスの妹ガートルードはこれも美女として有名となり、サリトル・ハイフォールの妃となった。

ホーランス男爵家

ヒアナは守護戦士のひとり。姉が二人、妹が一人。男兄弟がおらず、現時点で後継者は決まっていない。ネルマンはデリス・マイルトリアスの弟クレリアスあるいはサンタレン・リカリ男爵弟をヒアナの婿養子にと考えている。

領地はハーネアスの一角。ハヤナの夫レクターは代々牧師の家系。

現当主ネルマンの父モルデルは、スメル帝国（現ラムサダス帝国）へ渡ったラクナティス・ファルティアンの母アリエッタの弟である。従ってネルマンはラクナティスの従兄弟にあたる。

アリエッタはラクナティスをもうけた後、事故で赤子に戻ってしまい、現在は騎士の娘である美少女魔術師シルヴィア・タランティスを名乗っている。シルヴィアは若さに似合わぬ強大な魔力の持ち主であり、長年王国を悩ませていた魔物カサ・アンシャを一人で倒してその名を王国中に知らしめた。ハレスガード王は彼女の素性を疑っているが、今のところとくに情報を得ていない。

三星家

グラスター侯爵家、メイスター伯爵家、デルスター男爵家はコリント三星家と呼ばれる。何らかの特権を伴ったものではないが、自らに箔をつける目的で主にデルスターの者が使う（当主ミリバンドはそのような性格ではないので、これに当てはまらないが）。三家は4世代に渡って良好な関係を保っている。

過去の貴族

設定のあるもののみ。下記以外にも存在したと思われる。

紀元前の将軍家もある意味では貴族だが、帝国の崩壊とともに記録は失われ、名前すら現存するのはイス・ドノーヴァ、カメーノ・ガイヤーン、ムスタン・ア・ワイラーなどわずかである。これらがどのような人物で、いつ帝国を支配したのかは分かっていない（未設定）。

ライスデルス侯爵家

当主ワイアールはハレスガード王即位時に不正蓄財のかどで一族もろとも国外追放処分となった。現在は南方の大陸ラムサダス帝国で平民になっている。

スティグリッツ伯爵家

ライスデルス侯爵家と同様。最後の当主はカールグレン。2代前にヘレネス王国（現アマリス帝国）で反乱を起こされて同名の街を追われ、移住してきた。

メイザー伯爵家

ライスデルス侯爵家と同様。最後の当主はイシュトバーン。

ジョンカープ子爵家

当主ダグリスは蓄財こそさほどではなかったが、不正財産没収政策に最後まで反対し、家から一人だけ国外追放となってアナーティア王国へ落ち延び、その地で民衆に暴行を受けて死亡した。現在は息子ジルヒャーが承継。

ライザールス伯爵家

ハレスガードの献策に不満を持ったために反乱を企図し、リスク・イェルト王自ら鎮圧した。当主ナーカとその息子は死罪となり、断絶した。領地はセンバー。

フェデイラ公爵家

6公爵家のひとつ。ジョウリンは400年紀の皇帝（当時はまだ帝国）。当時首都は現在のアマリス帝国アイスラント州のパニアにあった。この頃の都は廃墟となって現在の町並みの下に埋もれている。ブラズリィ、メイスは王国独立時の初代、二代の親子。ジョウリンと同じ家系だが直接の血のつながりはないとされる（ジョウリンの弟系とも言われる）。メイスには子が無かったため王朝は途絶えたが、弟の家系が存続した。その系はサティス断絶に前後してライアルを最後に断絶する。領地はフォセステン。

ペトロメリン公爵家

6公爵家のひとつ。マードレイ、ファーレイは700年紀の王（三代、四代）。ファーレイの男子はいずれも事故あるいは病によりファーレイよりも早く死んでおり、ファーレイの死とともにセイン王朝となった。傍系はサティス治世の1,127年に発生したクリンドール襲撃事件では多くの男子が討ち死にし、残されたリングレイの死去ですべて断絶した。領地はシルメリン（現クルート連邦首都）。

セイン公爵家

6公爵家のひとつ。シアンセーラは紀元前後の皇帝（当時はまだ帝国）。ワインフォルサは王国樹立後800年紀（五代）の、フェトキトナ、ティントレイルは800年紀（八代、九代）の、フェルドンナ、イヴァンサニアは1,000年紀（十三代、十四代）の女王。フェトキトナは28歳の若さで病没し、ティントレイルはその後を襲って6歳で即位した。イヴァンサニアを最後に断絶した。現在に至るまで唯一の女系貴族家。女系継承は6公爵家による独立以降であるが、公式には降臨後ずっと女系だったことにしている。いずれにせよ男子には当主を継ぐ資格が与えられず、女子は他家へ嫁いだ時点でその資格がなくなった。つまり、傍系は存在しなかった。領地はシンパルム（現ウラディミスク帝国内、廃墟となっている）。家宝だったサファイア、キスロカンはそのシンパルムが面している湖の名の元になっている。

サティス公爵家

6公爵家のひとつ。アリュアは1,220年に漁師の男と駆け落ちし「恥さらし」と呼ばれた。父王の十八代ミュストゥルには他に子がなく、ミュストゥル自身十七代フィラルの唯一の子であったため、そのまま断絶した。第十五代ミシェリンのときには他に男子があったが、いずれも断絶している。領地はミュッセ（現裏エルヴァート・マウリア王国の東、廃墟となっている）。続くイェルトの治世に放棄された。