コリント王国には、明確な政治機構は存在しない。かつては存在していたが、各貴族に街の支配を移譲する中で段々と必要とされなくなり、ここ300年ほどは存在していない。
国王以外で唯一存在する、国政に直接携わる立場の者は輔弼である。輔弼は主に貴族から選ばれ、任務を遂行する。必要に応じて他の貴族や専門家（平民を含む）の力を借りる。年齢や性別の制限はなく、貴族からの選出が多いとは言え限定されていることもない。人数も無制限である。自らの意志で辞したり、国王から解任されたりすることで職を去る。再任されることもある。役職は任命時の国王一代限りで、明示的に解任されなくても国王の崩御または退位とともに任を解かれる。次王が同じ人物を再任させたり、彼らの子女を輔弼とするのは次王の自由である。また、輔弼の任を解かれて王妃や側室となった者も存在するし、王の個人的な趣味で少女のみを輔弼としていたこともある。補弼は「国王を補佐する」以上の詳細な規定がないため、現実として国政の役に立たなくてもそれをもって解任されることはない（無論、国家予算から俸給が支払われる以上、嫌みを言われたり陰口を叩かれたりすることはある）。
現在の国王ハレスガード・ダンクノックの輔弼は以下の5名である。
アディアン・ノートリスは智者として知られ、洞察力に優れる。ローグランド・デリス・マイルトリアスは博学で知識は国内一とされる。とくに諸外国の事情に明るい。竜騎兵隊長リーザス・メイスターは勇壮で軍略に詳しく、個人としても大変な強者である。リスク、ハレスガード二代に仕えるミリバンド・デルスターは輔弼の最年長。静謐で率直な人物として知られ、国王に対しても何ら臆することなく意見する。ランジェス・イェルトは現在の公爵マジュロの孫であり、周囲からは王女エリシエルの結婚相手…つまり次代の王となるだろうと目されている。