概要

ベナン王国は、中海に浮かぶ島国である。オージャス大陸エルスルム王国の南、ホーメルト南島の西に位置する。首都は南岸の街ベナレスで、ベナンの椅子という意味になる。他にいくつかの集落があるが、いずれも硬質な岩を用いた建造物が並ぶ、整備された美しい町並みとなっている。王宮のような重要施設では金属壁が使われている例もある。王宮は三階建てであり、これを超える建物を建ててはならない。

国土の大半は森林に覆われ、動植物相はそれなりに豊富である。島の北部ななだらかな丘陵地帯で、その大地は硬い。各所の街を支える岩は、ここから切り出されたものである。上下水道も整備されており、街は清潔に保たれている。近年は軍備の増強にも力を入れており、4つの艦隊を持つなど小さな島国には違和感を覚えるほどの設備を持つ。

建国60年でこのような発展を遂げた理由は、建国王ベナン1世が丘陵地帯に産出するダイヤモンド原石や金銀といった鉱物を、輸出することにしたからである。これを南ホーメルトの商業都市イルダと、セイレイの商業国家アルカレティアスに同時に持ちかけた。そうしてこの2大商業勢力を相手に値を吊り上げ、資金を蓄えつつ各種技術や海外の品々を買いあさった。現在でもこれらの交易は行われている。ただし、1,617年にはイルダが、1,629年にはアルカレティアスが同じフェルナンド帝国の軍門に降ったため、彼らを絶妙に競わせて価格交渉を有利に進める手は既に使えなくなってしまった。イルダは半独立であり、多くの商業権を勝ち取っているとはいえ、ベナンが頼みとしていたダイヤモンド原石や金銀のような稀少資源は帝国商務省の管理官を通さないわけにはいかないからである。そこで数年前から、新たな交易相手国を探し始めている。