概要

北ホーメルト島の北岸、セリール半島の隅にある高山地帯に大きなクレーターが存在する。ダンヒル皇国は、そのクレーターのさらに地下に存在する国家である。一般的にはここに国があるとは考えておらず、フェルナンド帝国セリール州の一部とされている。支配者はスルー・ウィンザー。一見するとドワーフのようだが、実際には魔人と呼ばれる混沌の勢力に属する存在である。この国には多くの魔人とそれに仕える奴隷がいる。

ダンヒルの始祖は「闇の王」と呼ばれた魔人、ヴェルツィールである。フェルナンド王国の祖である＜征服王＞ジョージと争った。ジョージは個々の能力に劣る人間たちを良く組織して戦い、ヴェルツィールと休戦を取り付けることに成功した。ヘインにおける会見で、ヴェルツィールはジョージの腹心オリヴァー・ビーンセントの剣を受けて死んだ（なお、このとき用いられた剣が＜白き剣＞エクスカリバーだとされている）。それを合図にフェルナンド軍は闇の軍勢に襲い掛かり、多くの虐殺が行われた。王を失った闇の軍勢だったが、ヴェルツィールの弟マンドレギディンがオリヴァーを殺してジョージを後方へ下がらせたことでフェルナンド軍は前進をやめ、そのすきにマンドレギディンは味方をまとめてダンヒルへの撤退に成功した。

ダンヒルはマンドレギディンをはじめとした魔人の指示により、山中と地下の2層に分かれて国を整えた。それから500年ほど、じっと山中で復讐の機会を伺っていた。1,613年になってある魔術師がアーサー王の妃エリカを昏睡状態に陥らせたことがある。これはアーサーの動揺を誘うためであったが、思わぬ反応を引き起こした。アーサーは超高速飛行魔術で大気圏外へ出ると、テレキネシスの魔術を使って宇宙塵に運動を与え、微調整を繰り返して正確に地上のダンヒルへ落下させたのである。かくて前述のクレーターが出現した。これによって地上のダンヒルは壊滅、魔人も含め多くの犠牲が出たが、スルー・ウィンザーをはじめ主要な魔人は元々地下暮らしということもあって無事だった。現在でも地下で帝国となったフェルナンドへの復讐の計画を練っている。

なお、1,467年のハロルド王によるブラング出兵の際、ダンヒルが裏で助力したとの噂がある。これは事実である。その際の王はモーブヒュナーという名だった。