人物

1,496(ホーメルト暦3,107).2.21生, 133歳(見掛け50歳). 身長173cm 体重55kg.

市長

ナイトサイトは、フェルナンド帝国、北ホーメルト大陸の中央にある「地獄の谷」の谷底の街である。様々な人種の、黒いローブを着た魔術師達が集う街であり、ダームはその頂点に君臨する魔術師である。とはいえ、彼はナイトサイトに集う魔術師の中で最強の力を持っているわけではない。あくまで調整能力の面で、彼らの上に立つに値する人物である、というだけである。彼らは基本的に外の世界に関心が無く、自分たちの研究に勤しんでいる。同じ街に住んでいても、全体に共通する仲間意識があるわけでもない。なお、この街には純粋に邪悪な者もそれなりにいるが、ダーム自身は利己的ではあっても邪悪な存在ではない。

かつてキングスパーティが腕試しとして「地獄の谷」を訪れたことがあったが、この街には立ち寄っておらず、存在を知ったのはその後のことである。谷はかなり広い場所である。

ダームには、かつて南島ソーカンリーに住んでいたという噂がある。これは事実である。ただ、一部で言われる「ソーカンリーの王族出身」（レグス・ザ・ヴァイオレットの親類）という噂は事実ではないし、ダーム自身否定している。厳密には、ダームの祖先にソーカンリー王族の血が入っていることは確かだが、レグスらが伝える秘技はダームには無関係である。

1,629年にホーストヘルンの＜愚者＞が帝国と敵対した際、皇帝アーサー・フェルナンドは彼にも助力を頼んだが、にべもなく断られた。これは彼にとって＜愚者＞と敵対する意味がなかったからである。一般的に考えられる魔術の頂点を極めるだけの優れた魔術師ではあったが、そのさらに先へ行けるほどの存在ではない。＜愚者＞のような者と対峙しても一瞬で消滅させられることは目に見えていた。

1,572(ホーメルト暦3,203).11.17生, 57歳(見掛け15歳). 身長145cm 体重40kg.

ダームの娘

市長ダーム・ルートヴィヒスバーグの娘。少女の姿に見えるが、50歳を超えている。紫髪、赤い瞳を持つ。瞳の色は父親譲り。整った顔立ちをしているものの、本人は自分を含め生物の美醜になんの興味も抱いていない。口数は少なく、また声も小さいので周囲からは無口だと思われている。比較的微笑を浮かべていることが多い。ただし何かを楽しんでいるというよりも、周囲に悪い影響を与えないのはそういう表情と考えているというだけである。全身黒のドレスに身を包んでいることが多いが、一張羅というわけではなく微妙にデザインの異なるものを数多く所有している。ドレスに関してはそれなりに美しいものを選ぶ傾向にあるが、他になければ粗末な衣装でいることもある。

ナイトサイトでは中の下程度の魔力であり、決して目立つ存在ではない。それ故、普段は重要視されていない。研究対象は生素と魔力の関係。そのために人間を含めた動物を殺害することも多い（殺害を好んでいるわけではない）。実験のためにダガーを用いることはあるものの、それで戦う術は身につけていない。戦闘はすべて魔法による。戦闘用には黒魔術系統の技を多く身につけており、一部降霊術にも手を染めている。ただ、あくまで研究のための補助的な技能として位置づけており、アンデッドを量産したりそれを使役したりはしない。

生命は尊ぶべきものであると考えている。ただ、無意味な大量殺人は嫌悪する一方で、多少の殺しには無頓着という、やや首尾一貫しない性格をしている。

周囲から向けられる敵意を、広範囲にわたって敏感に感じ取る能力を有しており、彼女は危険地帯である谷底を1人で自由に行き来できる。またこの感覚を応用して、ナイトサイトを包む古くからある結界を強化している。父であるダームを始め数人はこれを承知しているが、街のほとんどの魔術師は知らない。

1年のうち半分程度をナイトサイトで過ごし、それ以外は自由気ままに飛び回っている。生まはナイトサイトで、母親は知られていない（ダームのかつての愛人とされている）。ダームとは同居しているわけではなく、必要がなければ会うこともない。それ故、本当は娘ではないのではないかという噂もある。1人でいることを好み、父だけでなく多くの人間とも会話することは少ない。結婚もしていない。