概要

鳥の里（Bird's Home、Fugldyrhus）はホーメルト南島、旧アルヴンランドにある、鳥類の楽園である。世界でも類を見ないほど多くの種類の鳥類が生息する。ここでしか見られない種も数多い。

これらの鳥たちを統率しているのは、二足歩行する鳥類グリトニル（Glitnir）である。人里にはめったに現れず、近い種であるアルフたちともほとんど交流がないため、人間たちには知られておらず、知っている者も既に絶滅したものと考えているのがほとんどである。

グリトニルには上位種と下位種がおり、上位種は背中に独立した翼を持ち、ピクシーサイズから人間サイズまで、様々な大きさを持つ。人間サイズが多い。下位種は両腕が翼になっており、ピクシーサイズしか存在しない。

いずれも性格は人間同様に個性があるが、基本的にはカオティックグッド。支配者層は常に上位種である。下位種をつがいに選んだり、妾として使う上位種もいるが、それらに公的な特権が与えられることはない。両種の混血児は基本的に下位種として扱われ、子孫を残すことも許されていない。ただし人間サイズの場合出自を隠して上位種とする場合があり、現在上位種のサイズが一定でないのはこのためと言われる。

鳥の特徴を受け継ぎ、胎生ではなく卵生である。顔は孔雀等に近いが、くちばしは短く目も小さい。全身薄い羽毛で覆われている。簡素なローブをまとう。色は個々人の好みだが明るい色が多い。

彼らの都ヒミンビョルグ（Himinbölg）にはおよそ5万人のグリトニルが住む。王政を敷き、現在の王はサングリーズル（Sanngríðr）という女性で534歳である。

上位種が250歳を超えた辺りで頭中央に一本の角が生える。これを彼らの言葉でトレレーサ（Tréráða）と呼ぶ。硬くはなく、折れることもない。これは年々伸びる。そして10年単位で左右から枝が現れ、数年後にはその枝からもさらに小枝が生える。その者の善行を神が形にしたものが枝分かれの数だと言われ、王が死ぬとその時点で最も枝分かれした者が次代の王となる。

ただ、この枝は実際には年齢を重ねたことによる自然な進化であり、同じ歳を生きれば同じだけの数が生える。単に250年を超えて生きる者が少なく、また彼らの年齢に対する感覚が曖昧なために、気づいていないだけである。

神経は通っておらず、痛みを感じることもないが、これが折れた者は即死してウィッシュ以外での復活はできなくなる。また老齢によって中が虚になり、最後は朽ちてくるので死期が近いことが周囲からも判る。

彼らは独自の言語を持つ。居住域がここだけのため、方言はない。

上位種にいるわずかな神官と、下位種にいるわずかな盗賊を除くほぼ全員が魔法戦士である。

戦いは好まないが、成人（50歳、通常の寿命は上位種で300年、下位種200年）したグリトニルは危機になれば全員が戦うことをためらわない。人間と同様の剣（上位種は長剣、下位種は短剣）を用いる。

ヒミンビョルグは鳥の里中央にある離れ山の山中にある。この山の周囲はイモータルの力により常に霧が形作られ、グリトニルおよび彼らが特別に許した者だけが、通り抜けることができる。許可を得ない者は単に霧を突き抜けて反対側に出る。正確な位置を測ることができる者であれば、そこに何らかの魔法が働いていることはすぐに判る。

皇帝アーサーとその情報部はこの霧が何らかの大規模魔力集積体であると結論付けているが、まだ内部への侵入には成功していない（イモータルの作った魔法をモータルが破ることは不可能である）。いずれにしても、何らかの敵性を感じられる兆候はないため、注視しつつも現時点で何らか手を下そうとは考えていない。

彼らはイモータル・グリンカムビ（Gullinkambi）を信奉する。グリンカムビはかつてズィドラスに住むロック鳥だったが、神々のいたずらか大変な知性を持って生まれたために通常の生活ができず、困難な旅路の末に不死性を獲得した。その後、鳥とアルフを用いてグリトニルの種を創造した。

グリトニルからは、その後カラドリウス（Caladrius）というイモータルが出ている。モータル時代のカラドリウスか、外界で最後に確認されたグリトニルである。彼らの神々は現時点でこの二人だけである。都を出るような異常者（彼らの感覚では）は今後二度と現れまいと言われている。