人物

1,584.9.11生, 1,630.5.13死去, 享年45歳(見掛け同じ). 身長167cm 体重56kg.

第20代国王

青緑色の長い髪が豊かに波打ち、見るものに強い印象を与える。また青紫色の瞳も強烈である。1,611年、兄であるヴァルトが即位後1年にも満たずに急死したため、20代目の国王として即位した。初代エベート以来国王はみな屈強な戦士あり、父ガダードも兄ヴァルトも優秀な人物だったが、ヴェルトは病弱だった母の血が濃かったのかあまり体格に恵まれず、力と力の戦いではどうしても他の者たちには叶わなかった。性格もやや女々しいところがあったり、陰湿さを垣間見せたりしていた。このためガダードは後継者として何の迷いもなくヴァルトを選んでいた。

ヴェルトはひとつの力にこだわらない質だった。彼は15歳になると一人ニカシュマルドに住む妖術師を訪ね、手ほどきを受けた。彼はこのときからすでに、王位を奪うつもりだった。そしてそれは父が死んだ1,610年に実行に移された。彼は術を用いて少しずつ兄とその息子の健康を害していった。食事番が疑われたり妃が疑われたりした。誰もそれが術によるものだと気づかなかった。こうしてヴェルトは王位に就くことができた。彼はこれをカカ・ササ攻略にも用いた。敵国の将軍や国王に、同じことをしたのである。しかし、その後ヴェルトは徐々に不調に見舞われるようになってきた。最初は単に風邪でも引いたかと思っていた。体力の減衰に気づいたのは1,625年頃であるが、なにが原因かを自覚することはできなかった。

1,627年にカカ・ササ攻略を完了し、リルル森のアルフの長老フィルティート・シルニオンに面会した際、自身が妖術に囚われていると告げられた。この頃にはすでに取り返しが付かなくなっていた。「人を呪わば穴二つ」と言うものか、妖術はヴェルト自身の命をも、少しずつすり減らしていたのである。1,630年、ヴェルトは衰弱して死んだ。王位は25歳の長子ラザントが継ぐことになった。