概要

巨大な森の広範囲に、預言者とそれに従う者たちが散らばって暮らしている。アルフも6氏族が住んでいるが、人間たちとは多少物々交換に応じている程度で基本的には関わっておらず、彼らの街へ招かれることもない。またガンベーリ湖畔のノースフォートにはリアノの氏族がある。テミルは大河の中洲にある預言者ヴァ・ラグレスが暮らす小さな神殿を中心として、それを取り巻くごく普通の人たちの街で、この区域では最大の人口である。ただしそれでも300人程度である。街全体がイモータル級の魔術の保護を受けている。

林業や森で取れる植物での生活が一般的で、人々は純朴でおとなしい。大木が多いため、大河によって下流へ運び出し、海岸近くの民たちに売っている者もいるが、基本的には貨幣をそれほど用いておらず、物々交換が多い。

森の様々な地点に散らばった者は預言者に願い出て力を与えられた者たちであり、それぞれ精神的に預言者とリンクしている。彼らの仕事はあくまで森に暮らす民の助けと護りであり、自ら力を求めることは禁じられている。

大国ホーストヘルンはこの森を放置している。＜愚者＞の力があれば守護者たちやラグレスを打ち倒すのは可能なのだが、ラグレスの正体が判らないために対応を慎重に検討している。

中心地テミルに近い森の一部は、通常の広葉樹ではなく様々な種類の巨大なキノコ類で成り立っている。最大で高さ3m、傘の直径2mほどになる。これは太古の魔法実験の産物で、通常の木が育たなくなった代わりにキノコ類が大きく育つようになった。現地ではムガルナと呼ばれている。傘が藍色あるいは紫色、柄がざらざらとした灰色の岩のよう。ヒダは緑がかった金色。見た目には食用には見えない。しかし、生えている間にも食欲をそそる香りを醸し出しており、加熱すればさらに香ばしい芳醇な香りとなる。スープに入れたり、そのまま焼いて食したりすることができる。

ムガルナは成長に日光を必要とせず、一部は地下の洞窟内にも繁殖するようになっている。森の中のそこここにある大小の洞窟でも、見ることができる。

預言者の中には、このムガルナを乾燥させ、粉末化した上で薬として調合する術を持っていることが知られている。この薬は「幻視の薬」と呼ばれている。幻のような形で、過去あるいは未来の光景が見られる。多くの場合、その人物の未来に関わるものである。ここで見られるのはその人がいる場所とは限らず、異なる世界であることもある。